SHIKAKU DAILY 043
本名
HONMYO
十二年で返事だけ上手くなった
LYRICS / 043
本名
イントロ それ、俺の名前じゃない
朝のガラスに息を吐いて
指で自分の名を書いた
「親父の二代目」と呼ぶ声に
振り向く癖がまだ残る
胸の名札を伏せるたび
十二年で返事だけ上手くなった
プリサビ
喉まで来たこの名前を
唇の裏で止めていた
でも今日は呼ばれる前に
この口から先に言う
サビ
ほんみょう ほんみょう
俺は俺を呼びにきた
親父の名を消すんじゃない
その隣に俺の名を書く
ほんみょう ほんみょう
胸の名札を表に返せ
似ている声で違う名を言う
それが俺の名前だ
昼のレジで釣り銭を渡す
客は「親父によろしく」と笑う
今日はその言葉を笑って流さず
名札を客へ向け直す
「初めまして」と名を告げる
客が初めて俺を見る
呼び直す声は少し遅れて
胸の奥までまっすぐ届く
プリサビ
震えを隠さず息を吸う
次は尋ねられる前に
俺のほうから名を告げる
もう名札は伏せていない
サビ
ほんみょう ほんみょう
俺は俺を呼びにきた
親父の名が俺を隠したんじゃない
その後ろにいたのは俺だ
ほんみょう ほんみょう
胸の名札を表に返せ
呼ばれたくない名を拒むより
呼ばれたい名をここで言う
ブリッジ
閉店後 名札を外し
親父の前に置いてみる
かすれた声で名を告げる
親父は黙って俺を見て
ゆっくり息を吸い込む
ラストサビ
ほんみょう ほんみょう
(ほんみょう ほんみょう)
俺は俺を呼びにきた
(俺は俺を呼びにきた)
親父の名もここに残す
その隣に俺の名を書く
ほんみょう ほんみょう
(ほんみょう ほんみょう)
似ている声で違う名を言う
継いだのは名前じゃない
名を言えるこの声だ
アウトロ
親父が俺の名を呼んだ
今度は迷わず振り向いた
それ、俺の名前だ