SHIKAKU DAILY 059
走者
SOSHA
「まだ行く」を ゴール横の君へ返す
LYRICS / 059
走者
イントロ
カッ カッ カッ
まだ行く まだ行く
白線の手前で 靴底がきしむ
フェンスの向こうで 君が膝を抱く
呼ばれた名前に 僕だけが応える
君のゼッケンを 左腕に巻く
ほつれた端を 君の指が押さえる
布の裏側を 君がゆっくりなぞる
プリサビ
「返さなくていい」と 君が結び目を引く
位置につくと 僕の息が細くなる
号砲の前で 視線だけ交わす
サビ
まだ行く まだ行く
息を吐くたび まだ行く
左腕に巻いた ゼッケンが鳴る
じゅうはち秒を 駆け抜ける
まだ行く まだ行く
この願いを 借り物にしない
君の代わりじゃない
君と並ぶ走者だ
雨粒が頬を 後ろへ流れる
隣の呼吸が 背後へ遠のく
痛むふくらはぎで 地面を押し返す
腕の結び目に 君の指を感じる
「代わりじゃない」と 左腕を強く振る
君の足音を この足音に重ねる
プリサビ
号砲の前に 布の裏の文字を読んだ
結び目が食い込み 濡れた布が腕を打つ
サビ
まだ行く まだ行く
君の文字を 声にして走る
左腕に巻いた ゼッケンが鳴る
遠い歓声を 足音が割る
まだ行く まだ行く
呼ばれた名前に 今度は強く応える
君の代わりじゃない
僕の名前で走るんだ
ブリッジ
「まだ行く」は
僕だけの声じゃない
ラストサビ
まだ行く まだ行く
まだ行く まだ行く
左腕に巻いた ゼッケンが鳴る
君の文字ごと 前へ運ぶ
まだ行く まだ行く
「まだ行く」を ゴール横の君へ返す
君の代わりじゃない
僕に向けて 君が腕を上げる
僕も左腕を 高く上げる
君が選んだ走者だ
アウトロ
布をほどかず 息を吸う
白線の手前で 靴底がきしむ