SHIKAKU DAILY 061
消していい
KESHITE II
声を消しても 母さんは消えない
LYRICS / 061
消していい
イントロ 消していい
指はまだ 画面の上で止まる
枕の横で 朝だけが来る
母さんの声を 画面に残した
見送って千日目も 留守電を消せない
再生すると 母さんは息を吸う
留守電は「帰りは気をつけて」で切れる
最後の声を 守ったつもりだった
なのに寝返りまで 小さくなった
プリサビ
忘れたくない でも苦しい
どちらも本音だと認める
残さなくても 愛は残る
震える親指に そう言ってみる
サビ
消していい 消していい
声を消しても 母さんは消えない
空いた耳へ 夜が戻る
やっとあなたを 思い出せる
消していい 消していい
忘れるぶんだけ 息をしていい
最後の声を 手放してゆく
今夜はまぶたを 閉じていい
湯気で曇った窓をぬぐう
そこに母さん似の顔が映る
味噌を薄める癖が手に残る
その手で味噌汁を椀によそう
声の高さは思い出せない
椀の置き方なら覚えている
消える記憶をもう責めない
残った癖で暮らしてゆく
サビ
消していい 消していい
忘れてもまだ 母さんの子だ
空いた両手で 椀を並べる
今いる部屋で 暮らしてゆく
消していい 消していい
声のない夜を 生きていい
忘れる日々を 責めなくていい
僕は今へと 帰っていい
ブリッジ
息を止めて 削除に触れた
小さな音が 部屋へ落ちた
枕の脇へ 画面を伏せる
聞こえないまま 息を吐いた
消していい
消していい
消していい
あの「帰り」は 過去を指さない
戻れという声ではなかった
僕は今日へ 帰ればいい
母さんの声が そう教えた
ラストサビ
消していい 消していい
声を消しても 母さんは消えない
空いた耳へ 夜が戻る
僕は静けさの中で眠る
消していい 消していい
忘れてゆく僕を許していい
最後の声は もう鳴らない
それでも僕は 眠っていい
アウトロ
夜だけが残る
息を吸う
消していい