Gettou Atlas — Alpinia zerumbet
月桃アトラス
沖縄の 香りは、 世界の 地図の どこに いるのか。
月桃(ゲットウ)は ショウガ科の 多年草。 沖縄では 「サンニン」、 奄美では 「サネン」、 英語では shell ginger と 呼ばれます。 日本と世界の 産地、 名前、 暮らし、 成分、 産業を、 ひとつの 地図に まとめました。
貝殻に 似た つぼみ。 ブラジル・ サルバドールにて。 写真: CostaPPPR / CC BY-SA 4.0
2〜3 m 草の 高さ
5〜6月 沖縄での 花の 時期
26地点 この 地図に 置いた 産地と広がり先
10の 呼び名 日本・ アジア・ アメリカ大陸・ アフリカで
月桃とは
名前の 地図
世界の 分布
日本の 産地
植物としての 月桃
成分と研究
暮らしと文化
季節の暦
産業とプロダクト
出典と写真
01 — What is Gettou
月桃とは
暖かく 湿った 土地を 好む、 背の 高い ショウガの 仲間。 葉も 花も 種も 根も 使える、 沖縄の 暮らしに 一番近い 植物の ひとつです。
学名 Alpinia zerumbet (Pers.) B.L.Burtt & R.M.Sm.
科 ショウガ科 ハナミョウガ属
和名・ 別名 ゲットウ(月桃)。 沖縄: サンニン。 奄美: サネン
英名 shell ginger、pink porcelain lily、shell flower
高さ 2〜3 m。 地下茎から 何本も 茎が 立つ
花 白い 貝殻のような つぼみが 房に なって 垂れる。 開くと中は 黄色に 赤い筋
実 直径2 cmほどの 丸い実。 秋から 冬に 赤く 熟し、 中の 種は 香りが 強い
原産とされる 地域 日本南部 (九州南部〜南西諸島)、 台湾、 中国南部、 インドシナ、 インド東部、 スリランカ、 マレー半島
香り さわやかで 少し スパイシー。 ユーカリに 似た 成分 (1,8-シネオール) などを 含む
開いた 花の 中。 黄色に 赤い筋。 写真: Mokkie / CC BY-SA 3.0
石垣島の 月桃。 道ばたや林の ふちに 自生する。 写真: M108t / CC BY 4.0
名前の 由来は、 台湾・ 中国での 呼び名 「月桃」を 日本語で 読んだ ものとされます。 つぼみの 形が 桃に 似ているからという 説が あります。
02 — Names around the world
名前の 地図
同じ 植物が、 土地ごとに 違う 名前で 呼ばれています。 名前を たどると、 月桃が どこで 暮らしてきたかが 見えてきます。
土地 呼び名 意味・ 背景
日本(標準和名) ゲットウ(月桃) 台湾・ 中国の 漢名を 音読みした もの
沖縄 サンニン(サニン) 島の 言葉。 「サンニンの 葉」で 餅を 包む
奄美 サネン サネンの 葉で 包むカシャ餅が 名物
台湾 月桃(ゲッタオ) 粽(ちまき)を 包む葉、 繊維で 編む敷物
中国南部 艷山姜 (イェンシャンジャン) 「あで やかな 山の 生姜」。 玉桃とも
英語圏 shell ginger つぼみが 貝殻(shell)に 似ているから。 pink porcelain lily とも
ハワイ shell ginger / ʻawapuhi luheluhe 庭木として 広がった。 luheluhe は 「垂れ下がる」
ブラジル colônia (コローニア) 葉の お茶を 民間で 血圧の 養生に 使う。 gengibre-concha とも
グアドループ・ マルティニーク atoumo (アトゥーモ) 「à tous maux (あらゆる 不調に)」が 語源とされる。 花の 煎じ茶
学名 Alpinia zerumbet Alpinia は イタリアの 植物学者 プロスペロ・ アルピーニにちなむ。 zerumbet は ペルシャ語起源の 生姜の 呼び名から
垂れ下がる 花房。 英語名 shell ginger の 由来。 写真: Mokkie / CC BY-SA 3.0
03 — Distribution
世界の 分布
生まれは アジアの 南の 縁。 そこから 船と庭づくりの 歴史に 乗って、 ハワイ、 アメリカ大陸、 カリブ、 アフリカ、 地中海沿岸へ 広がりました。
月桃の分布地図: 原産とされる地域と、広がった地域
沖縄本島 — 自生・栽培。サンニン
石垣島・西表島 — 八重山。自生が多い
宮古島
奄美群島 — サネン。カシャモチの葉
九州南部 — 分布の北の端
台湾 — 月桃。粽と編み物の文化
華南 — 広東・福建・雲南・海南。艶山姜
海南島
ベトナム
タイ
ミャンマー
インド北東部 — アッサム周辺
スリランカ
マレー半島
ハワイ(マウイ) — shell ginger。庭木として広がる
フロリダ
ブラジル(バイーア) — colônia。民間の高血圧の茶
グアドループ・マルティニーク — atoumo。花の煎じ茶
レユニオン島
サントメ島 — 植物園
モナコ・地中海沿岸 — 温暖地の庭園
マドリード(温室)
コスタリカ
オーストラリア東岸 — 庭木
ナイジェリア
インド西部(ターネー) — 庭園
沖縄本島
石垣島・西表島
奄美群島
九州南部
台湾
華南
タイ
インド北東部
スリランカ
ハワイ(マウイ)
フロリダ
ブラジル(バイーア)
グアドループ・マルティニーク
レユニオン島
サントメ島
モナコ・地中海沿岸
コスタリカ
オーストラリア東岸
ナイジェリア
インド西部(ターネー)
原産とされる 地域(濃い点と緑の 帯)
人の 手で 広がり、 庭や野に 定着した 地域
原産の弧 — アジアの 南の縁
九州南部から 南西諸島、 台湾、 中国南部 (広東・ 福建・ 雲南・ 海南)、 ベトナム、 タイ、 ミャンマー、 インド北東部、 スリランカ、 マレー半島まで。 暖かく 雨の 多い 場所に、 林の ふちや谷すじで 自生します。
太平洋 — ハワイ
19世紀以降に 持ち込まれ、 庭木として 定着。 マウイ島では 雨の 多い 谷に 野生化した 群落が あります。 斑入りの 園芸品種も 多く 見られます。
アメリカ大陸 — フロリダ、 中米、 ブラジル
フロリダやコスタリカの 植物園、 そして ブラジル北東部。 ブラジルでは 「コローニア」と 呼ばれ、 葉の お茶が 暮らしの 中に あります。
カリブ — グアドループ、 マルティニーク
フランス 領アンティルでは 「アトゥーモ」。 風邪の ときに 花や葉を 煎じて 飲む、 家庭の 植物です。
アフリカ・ インド洋 — サントメ、 レユニオン、 ナイジェリア
赤道直下の サントメ島、 インド洋の レユニオン島、 西アフリカの ナイジェリアでも、 植物園や庭で 花を 咲かせています。
地中海・ 温帯 — モナコ、 マドリード
霜が 軽い 地中海沿岸では 戸外の 庭園に。 マドリードのような 内陸では 温室で 育てられています。
ハワイ・ マウイ島カハナ。 写真: Forest and Kim Starr / CC BY 3.0 US
サントメ島 ボン・ スセッソ植物園。 写真: Ji-Elle / CC BY-SA 4.0
レユニオン島 サン・ ポールの 庭園。 写真: B.navez / CC BY-SA 3.0
モナコ。 地中海沿岸の 庭園。 写真: Semnoz / CC BY-SA 3.0
マドリード 王立植物園。 写真: Digigalos / CC BY-SA 3.0
コスタリカ サルチ。 斑入りの 葉。 写真: David J. Stang / CC BY-SA 4.0
04 — Japan
日本の 産地
日本では 南西諸島が ふるさと。 九州南部が 北の 端で、 沖縄と奄美では 自生と栽培の 両方が あります。
九州南部 分布の 北の 端。 鹿児島や宮崎の 暖かい 海ぞいで 育ち、 冬に 地上の 葉が 傷むこともあります。 福岡の 駅の ホームの 下でも 株が 見られます。
奄美群島 「サネン」。 カシャ餅を サネンの 葉で 包みます。 お茶やお菓子の 香りづけにも。
沖縄本島 「サンニン」。 道ばた、 畑の ふち、 やんばるの 林の へりに 自生。 精油・ お茶・ 化粧品の 原料として 栽培も さかんです。
宮古島 石灰岩の 平らな島。 畑の 風よけや屋敷まわりに 植えられ、 葉が 食べ物の 包みに 使われます。
石垣島 八重山の 中心。 自生が 多く、 ムーチー(餅)は サンニンの 葉で。 精油の 蒸留も 行われています。
西表島 亜熱帯の 森と川の 島。 谷すじや林道ぞいで 大きな 群落に なります。
地域 呼び名 自生 栽培・ 利用
九州南部 ゲットウ 海ぞいに 点在 庭木・ 公園
奄美群島 サネン あり カシャ餅・ お茶
沖縄本島 サンニン 多い 精油・ 蒸留水・ お茶・ 化粧品・ ムーチー
宮古島 サンニン あり 包み葉・ 防虫
石垣島 サンニン 多い 精油・ お茶・ ムーチー
西表島 サンニン 多い (群落) 包み葉
沖縄本島北部、 やんばるの森。 月桃が 自生する 環境。 写真: kohei sasabuchi / CC BY 2.0
福岡、 九産大前駅の ホームの 下。 分布の 北の 端の 風景。 写真: そらみみ / CC BY-SA 4.0
05 — Botany
植物としての 月桃
地下茎から 立ち上がる 太い茎、 1 m近い葉、 貝殻の つぼみ、 赤い実。 一年の 姿を 部位ごとに 見ていきます。
葉 長さ50〜70 cm、 幅10〜15 cmの 細長い 楕円。 表は つややかな緑、 ちぎると香りが 立つ。 食べ物を 包み、 お茶や精油の 主な 原料に なる。
茎 葉の 付け根が 重なって できた 「偽茎」。 高さ2〜3 m。 繊維が 強く、 かつては 縄や紐に。
花 長さ20〜30 cmの 花房が 垂れる。 つぼみは 白く 先が ピンク。 開くと唇弁が 黄色で 赤い筋。 沖縄では 5〜6月、 本州の 暖地では 6〜7月。
実 直径2 cmほどの 丸い実で、 筋が 入る。 秋から 冬に 橙〜赤に 熟す。 種は 黒く 角ばり、 強い 香り。
根茎 横に 這って ふえる。 株分けで 簡単に ふやせる。 香りの 成分は ここにも 多い。
赤く 熟した実。 マウイ 島ハイクにて。 写真: Forest & Kim Starr / CC BY 3.0
開花前。 2枚の 苞(ほう)が 花房を 守る。 台湾・ 台中。 写真: Ping an Chang / CC BY-SA 4.0
花と葉。 マウイ島キヘイ。 写真: Forest and Kim Starr / CC BY 3.0 US
育て方の 要点
光 日なたから 半日陰まで。 強い 西日は 葉焼けのもと。
水と土 湿り気の ある、 水はけの よい土。 乾きには 弱い。
寒さ 霜に 当たると地上部は 枯れるが、 根茎は 軽い霜なら 越冬する。 目安は マイナス 数度まで。
花の 咲き方 前の 年に 伸びた 茎に 花が つく。 冬に 全部 刈ると翌年は 咲かない。
ふやし方 春に 根茎を 株分け。 種からも 育つが 時間が かかる。
収穫 葉は 一年中とれる。 花は 5〜6月、 種は 秋〜冬。
月桃の 仲間たち
日本の 暖かい 地域には、 同じ ハナミョウガ属の 仲間が いくつも 自生しています。 見分けの ポイントと一緒に。
石垣島。 写真: M108t / CC BY-SA 4.0
クマタケラン Alpinia formosana
九州南部〜南西諸島、 台湾。 花房は 上を 向いて 立ち、 花は 白く 小さめ。 葉は 月桃より 細い。
久米島。 写真: M108t / CC BY-SA 4.0
タイリンゲットウ
月桃とクマタケランの 雑種とされる 園芸種。 花が 大きく、 沖縄の 庭や公園で よく 見る。
和歌山・ 那智勝浦。 写真: Alpsdake / CC BY-SA 4.0
アオノクマタケラン Alpinia intermedia
関東南部〜沖縄の 林の 中。 花は 小さく 白い。 台湾では 「山月桃仔」と呼ばれる。
神奈川・ 小田原。 写真: Loasa / パブリックドメイン
ハナミョウガ Alpinia japonica
関東以西の 林の 下。 小型で、 花は 白地に 赤い筋。 種は 漢方の 「伊豆縮砂」として 使われてきた。
名古屋・ 東山動植物園。 写真: M108t / CC BY 4.0
キフゲットウ (斑入り月桃) 'Variegata'
葉に 黄色の 縞が 入る 園芸品種。 世界中の 庭園で 人気。 性質は 月桃と同じ。
台湾。 写真: lienyuan lee / CC BY 3.0
台湾の 「山月桃仔」
台湾の 山地で 見られる アオノクマタケラン。 月桃(平地)と山月桃(山地)を 呼び分ける。
1655年 中国の 本草書。 写真: Wellcome Collection / CC BY 4.0
記録の 中の 仲間 — 山姜(1655年)
清の 時代の 本草書に 描かれた ハナミョウガ属。 東アジアでは 何百年も 前から、 この 仲間が 薬と香りの 植物として 記録されてきた。
06 — Chemistry & Research
成分と研究
香りの 正体と、 研究で 分かっている こと。 どこまでが 実験室の 話で、 どこからが 人での 話かを 分けて 書きます。
主な 成分
成分の グループ 代表的な もの 多く 含む 部位 何に 関わるか
精油(揮発成分) 1,8-シネオール、 テルピネン-4-オール、 γ-テルピネン、 p-シメン、 サビネン、 カンファー、 α-ピネン、 リモネン 葉・ 根茎・種 香り、 抗菌、 防虫
カバラクトン類 5,6-デヒドロカワイン (DK)、 ジヒドロ-5,6-デヒドロカワイン (DDK) 葉・ 根茎 抗酸化、 酵素のは たらきの 調整(実験室)
ポリフェノール フェルラ酸、 カフェ酸、 ルチン、 ケンフェロール 配糖体、 カテキン類 葉・花 抗酸化
食物繊維・ ミネラル — 葉(お茶) お茶としての 飲みやすさ
研究で 報告されている こと
テーマ 何で 確かめたか 分かっている こと
抗酸化 試験管 葉・ 根茎の 抽出物とポリフェノール、 カバラクトンに 抗酸化のは たらき。 美容・ エイジングケアの 素材として 注目される 根拠。
抗菌・ 抗カビ 試験管 精油と抽出物が、 いく つかの 細菌やカビの 増え方を 抑える。 食品の 包み葉としての 使われ方とも 重なる。
防虫・ 消臭 実用と試験 香り成分を 生かした 防虫・ 消臭の 製品が 流通。 衣類や米びつに 葉を 入れる 昔からの 知恵。
血圧・ 血管 動物 ブラジルの 民間利用が きっかけ。 葉の 精油とテルピネン-4-オールが 血管を ゆる め血圧を 下げる 報告(ラット)。
寿命・ 老化 線虫 葉の 抽出物で 線虫の 寿命が 延びたという 報告。 人で 同じことが 起きるかは 未確認。
肌・ 美白 試験管 メラニンに 関わる 酵素や、 肌の 老化に 関わる 酵素のは たらきを 抑える 報告。 化粧品原料としての 根拠。
リラックス・ 睡眠 — アロマやスパで 使われるが、 ストレスや睡眠への 効果は さらに 研究が 必要。
これらは 成分の 研究や伝統的な 利用を 含む もので、 病気の 治療・ 予防や、 人への 確実な 効能が すべて 証明されているわけではありません。
07 — Life & Culture
暮らしと文化
月桃は 飾る 植物ではなく、 使う 植物でした。 餅を 包み、 虫を 遠ざけ、 縄に なり、 紙に なり、 歌に なった。
石垣島の カーサムーチー。 写真: Anonymous Powered / CC BY-SA 3.0
ムーチー(鬼餅) — 沖縄
旧暦の 12月8日は 「ムーチーの 日」。 もち粉を こねて サンニンの 葉で 包み、 蒸します。 厄を はらい、 子どもの 健康を 願って、 年の 数だけ軒に つるす家も。 首里の 鬼退治の 言い 伝えが 由来とされ、 この 頃の 寒さを 「ムーチービーサ」と 呼びます。
紅い もの ムーチー。 写真: N / パブリックドメイン
カシャ餅 — 奄美
奄美では サネンの 葉で 餅を 包む 「カシャ餅」。 黒糖やよもぎを 混ぜた 餅に、 葉の 香りが 移ります。 沖縄の ムーチーと同じ、 葉で 包んで 蒸す文化です。
包む葉・ 防虫・縄 — 島の 知恵
香りが 強く、 ばい菌の 増え方を 抑えるので、 ごはんやおにぎりを 包む葉として 使われました。 葉を たんすや米びつに 入れて 虫よけに。 茎の 繊維は より あわせて 縄や紐に。 花は 仏壇や行事にも。
月桃紙 — 沖縄の 新しい 工芸
茎の 繊維から 作る紙。 20世紀の 終わりに 沖縄で 商品化され、 名刺や便せん、 包装紙に。 さとうきびの 搾りかす(バガス)と 組み合わせた 紙も あります。
歌 「月桃」 — 沖縄戦の 記憶
海勢頭豊 (うみせど ゆたか)が 作った歌 「月桃」は、 沖縄戦で 亡くなった 人々を 悼む歌として、 6月23日の 「慰霊の 日」の 頃に 歌い 継がれています。 月桃の 花が 咲くのは、 ちょうど その 季節です。 映画 「GAMA 月桃の 花」 (1996年)の 題名にもなりました。
粽と編み物 — 台湾
台湾では 月桃の 葉で 粽(ちまき)を 包みます。 パイワン 族やルカイ 族の あわの 粽「アバイ (阿拜)」は 外側を 月桃の 葉で 包むのが 決まり。 アミ族などは 茎の 繊維で 敷物やかごを 編み、 「月桃編み」として 今も 工芸が 続いています。
月桃の 花とミントの 煎じ茶。 写真: Teknad / CC BY-SA 4.0
アトゥーモ — カリブ
グアドループやマルティニークでは 「アトゥーモ」。 風邪やの どの 不調に、 花や葉を ミントと一緒に 煎じて 飲みます。 名前は 「あらゆる 不調に」という 意味の フランス語がな まった ものとされます。
コローニア — ブラジル
ブラジル 北東部では 「コローニア」。 葉の お茶を 血圧の 養生に 飲む習慣が あり、 それが きっかけで 血管への 作用が 研究されました。 民間の 知恵が 科学の 入口に なった 例です。
庭の 月桃 — ハワイと世界の 植物園
ハワイでは 庭木やレイの 素材として 親しまれ、 マウイの 谷では 野生化しています。 フロリダ、 コスタリカ、 レユニオン、 サントメ、 モナコ。 世界の 植物園の 温室や庭で、 同じ 貝殻の つぼみが 垂れています。
08 — Calendar
季節の暦 — 沖縄の 一年
沖縄を 基準に した 月桃の 一年。 本州の 暖地では、 花が 1か 月ほど 遅れます。
月 月桃のようす 人の 営み
1月 葉は 青いまま 冬を 越す 旧暦12月8日の ムーチー (年に より 1〜2月)。 ムーチービーサの 寒さ
2月 古い葉が 傷む 株分けの 準備
3月 新芽が 立ち上がる 株分け・ 植えつけ
4月 茎の 先に 貝殻の つぼみ 花の 前の 葉は 香りが 強いとされ、 蒸留を 始める 所も
5月 開花の 盛り 花の 観賞。 香りの 最盛期
6月 花が 終わり、 実が つき始める 23日の 慰霊の 日。 歌「月桃」
7月 葉が 最も 大きく 茂る 葉の 収穫、 お茶・ 精油づくり
8月 台風で 葉が 裂ける ことも 防風の 手入れ
9月 実が ふくらむ 葉の 収穫が 続く
10月 実が 橙色に 色づく 種の 採取が 始まる
11月 実が 赤く 熟す 種を 乾かす。 香り袋の 材料に
12月 実が 落ち、 葉は 青い ムーチーの 葉を 選んでとる
09 — Industry
産業とプロダクト
沖縄の 天然植物として 商品化が 進んでいます。 何から 何が 作られているのかを 整理しました。
分野 主な 商品 使う 部位 つくり方
香り 月桃精油 (アロマオイル) 葉・茎 水蒸気蒸留
化粧品 月桃蒸留水 (芳香蒸留水)、 化粧水、 美容液、 クリーム、 石けん 葉 蒸留で 出る 水、 抽出液
食品 月桃茶、 お菓子の 香りづけ、 ムーチー 葉・種 乾燥、 焙煎、 包む
暮らし 防虫スプレー、 消臭スプレー、 香り袋、 虫よけ 葉・ 種・ 精油 精油の 希釈、 乾燥
紙・ 工芸 月桃紙、 名刺、 便せん、 編み物 茎の 繊維 紙すき、 編み
スパ・ 観光 スパ・ 温浴の トリートメント、 栽培と蒸留の 体験 葉・ 精油 農園と宿の 組み合わせ
蒸留の 数字(目安)
0.1%前後 葉の 重さに 対する 精油の 収率。 100 kgの 葉から 100 mLほど。 季節・ 部位・ 蒸留の 条件で 大きく 変わる
5 mL 国内で 流通する 精油の 一般的な 小びん。 希少な 油なので 小さい 単位で 売られる
年2〜3回 暖かい 沖縄では 葉を 年に 何度も 刈れる (栽培の 仕方に よる)
全国の 市場規模や売上の 順位は、 公的な 統計が ありません。
10 — Sources & Credits
出典と写真
おもな 出典
Kew Royal Botanic Gardens, Plants of the World Online — Alpinia zerumbet (学名・ 分布)
Flora of China — Alpinia zerumbet 艳山姜 (形態・ 中国での 分布)
GBIF — Alpinia zerumbet の 出現記録(世界の 分布)
Starr Environmental — Plants of Hawaii: Alpinia zerumbet (ハワイでの 定着)
Elzaawely A.A., Xuan T.D., Tawata S. (2007) Essential oils, kava pyrones and phenolic compounds from leaves and rhizomes of Alpinia zerumbet and their antioxidant activity. Food Chemistry 103: 486–494
Chompoo J., Upadhyay A., Fukuta M., Tawata S. (2012) Effect of Alpinia zerumbet components on antioxidant and skin diseases-related enzymes. BMC Complementary and Alternative Medicine 12: 106
Upadhyay A., Chompoo J., Taira N., Fukuta M., Tawata S. (2013) Significant longevity-extending effects of Alpinia zerumbet leaf extract on the life span of Caenorhabditis elegans. Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 77: 217–223
Lahlou S., Interaminense L.F., Leal-Cardoso J.H., Duarte G.P. (2003) Antihypertensive effects of the essential oil of Alpinia zerumbet and its main constituent, terpinen-4-ol, in DOCA-salt hypertensive conscious rats. Fundamental & Clinical Pharmacology 17: 323–330
Victório C.P. (2011) Therapeutic value of the genus Alpinia, Zingiberaceae. Revista Brasileira de Farmacognosia 21: 194–201
沖縄の 年中 行事 (ムーチー)・ 奄美の カシャ餅・ 台湾の 月桃文化は、 各地の 自治体・ 博物館の 公開資料と現地の 聞き取りを もとに まとめた
写真に ついて
写真は すべて、 各地で 撮られた 実物の 月桃と仲間たちです。 Wikimedia Commons で 公開されている 自由ライセンスの 写真を、 作者名とライセンスを 添えて 使っています。 一覧は 下の 通りです。
最終更新: 2026年11月7日。 内容の 誤りや、 載せてほしい 産地・ 文化・ 研究が あれば、 J-Catalyst の お問い合わせから お知らせ ください。