勝山館跡の平場と、地面に示された建物の跡(2019年4月撮影)。館は夷王山の中腹から北へ下る斜面に築かれ、日本海を見下ろす。
On-nekoCC BY-SA 4.0Wikimedia Commons

北海道 · 上ノ国町

上ノ国勝山館

かつやまだて

Katsuyama-date

北海道上ノ国町

館山城続日本100名城 102番

この城らしさ

松前藩の祖が築いた日本海の館。出土品にはアイヌの人びとが使った骨角器が500点あまり混じり、和人と⁠アイヌがともに暮らしていたと⁠考えられている。

なぜ?

勝山館は15世紀後半に武田信廣が築き、16世紀末ごろまで武田・蠣崎氏の政治・軍事・交易の拠点でした。発掘では10万点あまりの出土品の中から、当時アイヌの人びとが使っていた骨角器が500点あまり見つかりました。背後の夷王山の墓地からは仏教式の墓に混じってアイヌの葬り方による墓も見つかり、和人と⁠アイヌの関わりを示す重要な発見と⁠されています。[1][3]

見逃したくない3つ

01
勝山館跡の平場と、地面に示された建物の跡(2019年4月撮影)。館は夷王山の中腹から北へ下る斜面に築かれ、日本海を見下ろす。On-nekoCC BY-SA 4.0Wikimedia Commons

立体復元された柵・空壕・橋と⁠建物跡の表示

見る場所
夷王山の中腹から北へ下る斜面に広がる館の内部
注目する部分
立体で復元された柵・空壕・橋と、地面に示された建物や⁠井戸の跡、各所の説明板
ここが面白い
20年以上の発掘で、建物・井戸・空壕・橋などの跡が数多く見つかりました。町はその成果をもとに、柵や⁠空壕、橋を立体で復元し、建物や⁠井戸の跡を平面で表示しています。館の直下の町場と⁠あわせて「中世都市」と⁠呼べる景観だったことも⁠分かってきました。[1]
見られるか
外から見られる館跡は自由に歩ける(公開時間・料金の公式な記載はない)⁠。
02
勝山館の背後にそびえる夷王山(標高159m)から見た海岸線(2011年8月撮影)。手前が上ノ国町、奥が江差町。勝山館の「詰めの丸」ともいわれる山で、ふもとに600あまりの墓が並ぶ。Soica2001Public domainWikimedia Commons

夷王山墳墓群

見る場所
館の背後、夷王山(標高159m)⁠のふもと
注目する部分
600あまりの墓を示す白い墓標が、海風の中に立ち並ぶ様子
ここが面白い
墓は勝山館に住んでいた人びとのものと⁠考えられています。仏教式の墓に混じってアイヌの葬り方に従った墓が発掘され、和人と⁠アイヌの関わりを示す重要な発見と⁠されています。山頂には武田信廣をまつる夷王山神社があり、天ノ川の河口や⁠日本海、奥尻島や⁠大島が見渡せます。[3]
見られるか
外から見られる墓標の並ぶ一帯と⁠山頂は見学できる。墓地なので静かに見学する。
03

勝山館跡ガイダンス施設

見る場所
館跡のそば(上⁠ノ国町字勝山427番地)
注目する部分
ガラス越しに現地と⁠見比べる200分の1の復元模型、CGの復元映像、地下に発掘当時のまま型取りして再現された7基の⁠墓
ここが面白い
地下の墓は火葬墓や、体を折り曲げて葬った屈葬の土葬墓などで、もとの位置に再現されています。出土品の展示もあり、町の英語ページは「15〜16世紀⁠の北海道を理解⁠し体験できる唯一の場所」と⁠紹介しています。現地を歩く前後に寄ると、館の姿がぐっと⁠具体的になります。[2][4]
見られるか
一部見られる開館は4月中旬〜11月上旬のみ(2026年は4月11日〜11月8日)⁠、有料。

訪問の目安

所要時間の目安編集部の目安
ガイダンス施設⁠と⁠館跡、夷王山の墳墓群まで回って1時間半ほど
料金
大人200円(団体160円)⁠、小中高生100円(団体80円)⁠。旧笹浪家住宅との共通券あり
時間
10:00〜16:00(2026年の開館期間は4月11日〜11月8日)
立入り
自由に見学できる

館跡と⁠夷王山は自由に歩ける(公開時間・料金の公式な記載はない)⁠。ガイダンス施設⁠は4月中旬〜11月上旬のみ開館で有料。続日本100名城⁠のスタンプは開館期間中はガイダンス施設、休館中は⁠上⁠ノ国町教育委員会(上⁠ノ国町総合福祉センター内、字大留100番地)⁠で押せる。

確認日:

この城の物語

01
史実

交易の港を見下ろす山の斜面

勝山館は、夷王山の中腹から北へ下る斜面を利用して築かれた山城です。ふもとの天ノ川の河口や⁠大澗は、日本海の交易で船が出入りしてにぎわった場所でした。夷王山は勝山館の「詰めの丸」(最後の守りの場所)ともいわれます。[3][7]

02
史実

松前氏の祖、武田信廣

館を⁠築いたのは、のちの松前氏の祖と⁠なる武田信廣です。『新羅之記録』によれば、信廣は1457年のコシャマインの戦いで手柄を立て、上之国の守護・蠣崎季繁の養女を妻と⁠して、同じ年に近くの洲崎館を築きました。その後、夷王山のふもとに勝山館を築き、松前藩300年⁠の基礎を作ったと町は説明しています。館の北端の館神八幡宮が1473年の創建と⁠伝わることから、築城はそのころと⁠考えられています。[1][5][7][8]

03
研究上の解釈

和人と⁠アイヌがともにいた⁠館

勝山館は16世紀末ごろまで、武田・蠣崎氏の日本海側での政治・軍事・交易の一大拠点でした。出土品の中に、当時アイヌの人びとが使っていた骨角器が500点あまりあることから、中世史研究者の網野善彦は、この館に和人と⁠アイヌが混じって住んでいたことは「ほぼ明らか」と述べています。函館市の観光サイトは、館の目的を和人の交易と⁠アイヌの攻撃からの防衛と⁠説明しており、交流と⁠対立の両方があった時代だったことがうかがえます。[1][4][5]

04
史実

本拠が松前へ移る

信廣の子・光広の時代の1514年、蠣崎氏は本拠を松前の徳山館に移しました。その後の勝山館は、一族を置く重要な支城「脇館」と⁠なり、「和喜の館」とも⁠呼ばれたとされます。館が使われたのは16世紀末ごろまでです。[7][1]

05
史実

10万点の出土品がよみがえらせた暮らし

館の建物は⁠残っていませんが、20年以上の発掘調査で、中国産の青磁・白磁・染付や、美濃焼・越前焼など約5万点の陶磁器、金属製品や⁠木製品など10万点あまりが出土し、建物・井戸・空壕・橋の跡も数多く見つかりました。館の⁠中でのさまざまな暮らしが⁠分かってきており、勝山館は「北の中世」を語る史跡と⁠して教科書にも⁠取⁠り⁠上げられています。[1]

06
史実

国の史跡「上之国館跡」として

勝山館跡は1977年に国の史跡に指定され、1987年に範囲が広げられました。2006年には花沢館跡・洲崎館跡と⁠まとめて「史跡上之国館跡」となりました。館の内部では柵や⁠空壕の立体復元と⁠建物跡の表示が進められ、2005年度には勝山館跡ガイダンス施設⁠が開館しました。2017年には続日本100名城⁠に選ばれています。[1][3][6]

この城の人びと

年表

  1. コシャマインの戦い。武田信廣が手柄を立て、洲崎館を築く[8]

  2. 館神八幡宮の創建年(伝承)からの推定

    このころ勝山館が築かれる[6][7]

  3. 蠣崎氏が本拠を松前へ移し、勝山館は支城と⁠なる[7]

  4. 16世紀末ごろ

    このころまで拠点と⁠して使われる[1]

  5. 国の史跡に指定[1]

  6. 花沢館跡・洲崎館跡と⁠統合し「史跡上之国館跡」に[1]

  7. 続日本100名城⁠に選ばれる[5][6]

建物と⁠遺構

天守の状態

もともと⁠天守なし

中世の館で、天守はもともとない。

城全体のいま

館跡は史跡公園と⁠して整備され、柵・空壕・橋の立体復元と、建物・井戸跡の平面表示、説明板がある。背後に夷王山墳墓群と⁠夷王山神社、館の近くに勝山館跡ガイダンス施設⁠がある。

主な建物

再建(復興)

柵・空壕・⁠橋

発掘の成果をもとに立体で復元。[1]

跡地のみ

建物跡・井戸跡

地面に平面表示されている。[1]

基本データ

種類
館堀や⁠土塁で囲んだ武士の屋敷
地形による分類
山城山の上に築いた城。登りがある編集部記事
時代
中世編集部記事
天守の状態
もともと⁠天守なし天守は⁠建てられなかった編集部記事
築城者
武田(蠣崎)信広日本城郭協会
築城
文明5年(1473)⁠頃日本城郭協会
主な城主
蠣崎氏日本城郭協会
見られる遺構
曲輪・⁠堀編集部記事
文化財指定
国史跡(上之国館跡勝山館跡。1987年追加指定、2006年に花沢館跡・洲崎館跡と⁠統合・改称)(1977年)編集部記事
名城選定
続日本100名城 102番日本城郭協会

旅の情報

立入り

自由に見学できる

館跡と⁠夷王山は自由に歩ける(公開時間・料金の公式な記載はない)⁠。ガイダンス施設⁠は4月中旬〜11月上旬のみ開館で有料。続日本100名城⁠のスタンプは開館期間中はガイダンス施設、休館中は⁠上⁠ノ国町教育委員会(上⁠ノ国町総合福祉センター内、字大留100番地)⁠で押せる。

住所

北海道檜山郡上⁠ノ国町勝山(ガイダンス施設⁠は字勝山427番地)[2][5]

確認日: 2026-10-03

開館時間・料金

勝山館跡ガイダンス施設
時間
10:00〜16:00(2026年の開館期間は4月11日〜11月8日)
休館・休み
月曜(祝日の場合は翌日)⁠、祝日の翌日。開館期間外は休館
料金
大人200円(団体160円)⁠、小中高生100円(団体80円)⁠。旧笹浪家住宅との共通券あり[2][4]
確認日: 2026-10-03

車・駐車場

JR函館駅から車で約2時間。無料駐車場あり(約20台)⁠。[5]

確認日: 2026-10-03
公園・城域の開放時間
館跡の公開時間は公式に記載なし(函館市の観光サイトは「深夜・早朝でも入れる施設」に分類)[5]確認日: 2026-10-03
所要時間の目安編集部の目安
ガイダンス施設⁠と⁠館跡、夷王山の墳墓群まで回って1時間半ほど
階段・坂・足もと
館は山の斜面に南北に長く広がり、夷王山の山頂(159m)までは駐車場から歩いて登れる。[5][3][7]
車椅子・ベビーカー
バリアフリーの情報は確認できなかった。確認日: 2026-10-03
トイレ・休憩
トイレの情報は確認できなかった。
英語案内・音声ガイド
上ノ国町のサイトにガイダンス施設⁠の英語ページがある。函館市の観光サイトは「英語看板」のある場所と⁠している。[4][5]
季節の楽しみ
夷王山はツツジの名所で、6月の満開のころに「夷王山まつり」が開かれる。[5]
撮影のルール
撮影についての公式なルールは⁠見つからなかった。
工事・休館・立入制限
ガイダンス施設⁠は2026年11月8日⁠で今季の開館を終える。冬の館跡の状態(積雪など)⁠は未確認。[2]確認日: 2026-10-03

周辺の楽しみ

博物館

旧笹浪家住宅

ニシン漁を営んだ旧家の住宅で、北海道に残る最も古い民家と⁠して国の重要文化財。蔵では、周辺で見つかったアイヌの祭具イクパスイなど、江戸時代のアイヌと⁠和人の関わりを伝える資料を展示している。2026年は4月11日〜11月8日、10:00〜16:00、大人300円。[9]

確認日: 2026-10-03

編集部ガイド(見どころレビュー)

資料と⁠確認した情報をもとにした編集部の解説です。現地訪問の体験談ではありません。

こんな人におすすめ

北海道の中世や、和人と⁠アイヌの関わりに関心がある人、発掘の成果を現地で確かめたい人に向く。天守や⁠石垣のある城を期待すると⁠違う。

ここを見ると⁠面白い

ガイダンス施設⁠の模型と⁠映像で館の全体像をつかみ、地下の墓の再現を見る。そのあと⁠館跡を歩いて復元された柵や⁠空壕を確かめ、夷王山の墳墓群と⁠山頂からの日本海の眺めへ。

訪ねる前に

函館から車で約2時間かかり、公共交通の案内は公式に見当たらない。ガイダンス施設⁠は冬は閉まる(2026年は11月8日まで⁠)⁠。館の歴史は松前藩の記録と⁠発掘の成果から語られており、アイヌの側の記録はないことを知っておくとよい。

楽しみかた

ガイダンス施設では、ガラスの向こうの現地と⁠200分の1の模型を見比べると、どこに何があったかがよく分かる。旧笹浪家住宅の共通券を使えば、江戸時代のアイヌと⁠和人の関わりまで続けてたどれる。

訪問者レビュー

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異説・未確認の⁠点

出典

  1. 1
    史跡上之国館跡勝山館跡(国指定史跡)上ノ国町(教育委員会)municipal確認日:
  2. 2
    勝山館跡ガイダンス施設上ノ国町municipal確認日:
  3. 3
    夷王山・夷王山墳墓群-上之国館跡勝山館跡(国指定史跡)上ノ国町municipal確認日:
  4. 4
    Katsuyama Castle Guidance Facility上ノ国町municipal確認日:
  5. 5
    史跡勝山館跡はこぶら(函館市公式観光情報)tourism確認日:
  6. 6
    続日本100名城一覧公益財団法⁠人日本城郭協会jokaku確認日:
  7. 7
    勝山館(補助資料)Wikipedia日本語版other確認日:
  8. 8
    史跡上之国館跡洲崎館跡(国指定史跡)上ノ国町municipal確認日:
  9. 9
    【重要文化財】旧笹浪家住宅および附属土蔵、米蔵、文庫蔵上ノ国町municipal確認日:
  10. 10
    日本100名城・続日本100名城一覧公益財団法⁠人日本城郭協会jokaku確認日:
  11. 11
    Wikipedia「勝山館」Wikipedia日本語版wikipedia確認日:
  12. 12
    Wikidata Q11400268Wikidatawikidata確認日:

掲載の状況

  1. 候補を発見確認済み
  2. 城郭・城跡と⁠して確認確認済み
  3. 基本情報を掲載確認済み
  4. 詳細記事を掲載確認済み
  5. 写真の利用条件を確認確認済み
  6. 訪問情報を確認確認中

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