ふもとから見た小牧山(2022年1月撮影)。山頂に小牧山歴史館が見える。
Mont Blank richCC BY-SA 4.0Wikimedia Commons

愛知県 · 小牧市

小牧山城

こまきやま

Mount Komaki

愛知県小牧市

城平山城続日本100名城 141番

この城らしさ

山の上には信長の石垣、ふもとには21年後に家康側が築いた二重の土塁と⁠堀が残る。

なぜ?

小牧山には2つの城の顔があります。1563年に織田信長が居城と⁠して築いた城と、1584年の小牧・長久手の戦いで織田信雄・徳川家康の連合軍が信長の城跡を作り直した陣城(戦のための臨時の城)です。発掘で、山頂近くには信長時代の石垣が、山のふもとをめぐる二重の土塁と⁠堀には家康側の改修が残っていることが分かりました。[2][3][6][7]

見逃したくない3つ

01
発掘で見つかった石垣の裏込石(石垣の裏に詰める小石)の展示(2012年10月撮影)。Yanajin33CC BY-SA 3.0Wikimedia Commons

山頂をめぐる信長の石垣

見る場所
山頂の主郭(本丸)⁠のまわり。小牧山歴史館の西側には、整備の前から見えていた石垣がある
注目する部分
自然の石をそのまま積んだ石垣と、その段の重なり
ここが面白い
信長が4年しか住まなかったため、小牧山城は美濃攻めのための一時的な砦と⁠考えられてきました。ところが発掘で山頂をめぐる3段の石垣が見つかり、本格的な城だったことが分かりました。石垣の石には「佐久間」と⁠書かれた墨の文字もあり、市は日本最古の石垣の墨書の例と⁠しています。[8][9][6][10]
見られるか
一部見られる歴史館の西側の石垣などは外から見られる。「佐久間」の墨書の石は、れきしるこまき(小牧山城史跡情報館)⁠に展示。
02

ふもとをめぐる家康の土塁と⁠堀

見る場所
山のふもと。搦手側の登り道の近くに土塁の断面を見られる施設がある
注目する部分
山すそを一周する二重の土塁と⁠堀、出入口(虎口)⁠の形、土塁の断面
ここが面白い
1584年、秀吉の軍が犬山城を落と⁠して南へ進もうと⁠すると、家康側は小牧山の信長の城跡を大きく作り直して本陣にしました。山すそを一周する堀や⁠二重の土塁を新しく造り、出入口もすべて作り直しました。土を高め堀を深くする工事は、わずか5日ほどで仕上げたといわれます。[3][7][10]
見られるか
外から見られる散策路から自由に見られる。旧市役所の移転で復元された土塁もある。
03
山頂へ向かう大手道の石段(2019年10月撮影)。信長が城を築いたときに整えられた正面の道。NryateCC BY-SA 4.0Wikimedia Commons

まっすぐ山頂へ向かう大手道

見る場所
南のふもとの大手口から山頂へ
注目する部分
正門にあたる大手口から山頂へのびる道すじ
ここが面白い
大手道は信長が城を築いたときに整えられた、城の正面の道です。発掘では道に沿って信長時代の石積みも⁠見つかっています。いまも大手口から歩いて登れ、信長がつくった城の正面ルートをたどれます。[10][9]
見られるか
外から見られる歩いて登れる。車は入れない。

訪問の目安

最寄り駅
名鉄小牧駅から徒歩約20分
登り
少し登る
所要時間の目安編集部の目安
大手道で山頂へ登り、歴史館とれきしるこまきを見るなら2時間前後が目安
料金
一般200円、30人以上の団体100円、18歳以下無料。この券で山頂の小牧山歴史館にも入れる
時間
9:00〜17:00(常設展示室への入場は16:30まで⁠)
立入り
自由に見学できる

山全体を自由に歩ける。車は乗り入れできず、ふもとから山頂の歴史館までは歩いて約15分。歴史館とれきしるこまきの展示室は有料(共通券)⁠。続日本100名城スタンプ⁠は両館にある。ドローンの使用、火の使用は禁止。

確認日:

この城の物語

01
史実

平野にぽつんと⁠立つ山

小牧山は濃尾平野の東の端にある、標高85.9mの独立した小山です。1560年に桶狭間で今川義元を破った織田信長は、美濃の斎藤氏を攻める準備を進めていました。頂上から美濃の方まで見渡せるこの山を選んで、1563年に城を築き、清須城から移りました。[5][2][7]

02
史実

信長がはじめて自分で築いた城と⁠町

小牧山城は、信長が自ら初めて築いた城です。山の南には南北1.3km・東西1kmの城下町を計画的につくり、西側には商人や⁠職人の町、東側には家臣の屋敷や⁠寺を置きました。のちに各地で広まる城下町の形がここで早くも見られると⁠市は紹介しています。1567年に美濃を手に入れると、信長は稲葉山城(のちの岐阜城)⁠へ移り、小牧山城は⁠使われなくなりました。[2][4][7]

03
史実

小牧・長久手の戦いの本陣に

1582年に信長が本能寺の変で亡くなると、信長の子・織田信雄が羽柴(豊臣)秀吉と⁠対立し、1584年に小牧・長久手の戦いが起こりました。家康は信雄を助けて小牧山の城跡を作り直して本陣とし、東へ砦を並べて秀吉軍の南下を防ぎました。小牧のまわりでは大きな決戦はなく、4月9日の長久手の戦いに勝った家康は翌朝までに小牧山へ戻りました。11月に和解が成立すると、城は⁠再⁠び⁠使われなくなりました。[3][7]

04
史実

家康ゆかりの山と⁠して守られた

江戸時代、小牧山は尾張藩の土地になり、家康が勝利をつかんだ陣の跡と⁠して大切にされ、一般の人の立ち入りが禁じられました。小牧村の庄屋だった江崎家が管理しました。そのため山の中の堀や⁠土塁はとてもよく残りました。一方、信長の城下町の名残の町は1623年に山の東へ移され、いまの小牧の中心街になりました。[11][2][7]

05
史実

国史跡と、石垣を取り戻す整備

小牧山は1927年に国の史跡になり、1930年に尾張徳川家から小牧町に寄贈されました。戦後は中学校や⁠市役所などが山の中に建ち、一部の遺構が失われましたが、その後は施設を移して史跡を整える方向へ変わりました。山頂の小牧山歴史館は、1968年に実業家の平松茂氏が私財で建てて市に贈ったもので、京都の飛雲閣をモデルにしています。いまは発掘の成果をもとに、信長の石垣を取り戻す整備が⁠進められています。[11][12][13][14]

この城の人びと

年表

  1. 織田信長が小牧山に城を築き、清須から移る[7][2]

  2. 信長が稲葉山城(岐阜)⁠へ移り、小牧山城は使われなくなる[7][4]

  3. 小牧・長久手の戦い。織田信雄・徳川家康連合軍⁠が城跡を陣城に作り直す[3][7]

  4. 城下町の名残の町が山の東へ移される[11][7]

  5. 国の史跡に指定[5]

  6. 山頂に歴史館(いまの小牧山歴史館)⁠が完成[13]

  7. 歴史館が戦国時代の展示に改装し「小牧山歴史館」として再開[12][13]

建物と⁠遺構

天守の状態

模擬天守

山頂の小牧山歴史館は、1968年に完成した鉄筋コンクリート造3層4階⁠の建物で、京都の飛雲閣をモデルに設計された城風の建物。信長の城の天守を再現したものではない。

城全体のいま

山全体が国史跡で、緑の多い公園と⁠して歩ける。山頂に小牧山歴史館、南のふもとに小牧山城史跡情報館(れきしるこまき)⁠と⁠創垂館がある。発掘の成果をもとに、石垣や⁠土塁の整備が続いている。

主な建物

再建(復興)

小牧山歴史館

1968年完成。平松茂氏が建てて市に寄贈。飛雲閣をモデルにした城風の建物で、4階は展望室。[13]

現存

主郭の石垣

信長時代の石垣。発掘で山頂をめぐる3段の石垣が見つかり、整備が進む。[8][6]

現存

山麓の土塁・⁠堀

1584年の家康側の改修で造られた二重の土塁と堀。一部は旧市役所跡で復元された。[3][10]

移築して現存国登録有形文化財

小牧市創垂館

1888年に山頂の西側に迎賓館と⁠して建てられ、1949年にいまの場所へ移った。2022年に建設当初の姿に復原。城の建物ではない。[15]

基本データ

種類
城
地形による分類
平山城平地の中の丘に築いた⁠城編集部記事
時代
中世編集部記事
天守の状態
模擬天守天守がなかった城や、姿の分からない城に建てた観光用の天守編集部記事
築城者
織田信長・信雄、徳川家康日本城郭協会
築城
永禄6年(1563)⁠、天正12年(1584)日本城郭協会
主な城主
織田氏、徳川氏日本城郭協会
廃城
永禄10年(1567年)Wikipedia
見られる遺構
石垣・曲輪・井戸・土塁・堀・虎口編集部記事
文化財指定
国史跡(小牧山)(1927年)編集部記事
名城選定
続日本100名城 141番日本城郭協会

旅の情報

立入り

自由に見学できる

山全体を自由に歩ける。車は乗り入れできず、ふもとから山頂の歴史館までは歩いて約15分。歴史館とれきしるこまきの展示室は有料(共通券)⁠。続日本100名城スタンプ⁠は両館にある。ドローンの使用、火の使用は禁止。

住所

〒485-0046 愛知県小牧市堀⁠の内一丁目2番地(れきしるこまき)[14]

確認日: 2026-10-03

最寄り駅と⁠行き方

名鉄小牧駅名鉄小牧線

徒歩約20分 · 少⁠し登る

駅から西へ約1.9km歩くと⁠ふもと。そこから山頂の歴史館まではさらに歩いて約15分の登り。駅東口からバスで「小牧市役所前」へ行くこともできる(小牧市役所前経由⁠の便に乗る)⁠。[16][17][14]

確認日: 2026-10-03

開館時間・料金

れきしるこまき(小牧山城史跡情報館)
時間
9:00〜17:00(常設展示室への入場は16:30まで⁠)
休館・休み
第3木曜(祝日のときは翌平日)⁠、年末年始(12月29日〜1月3日)
料金
一般200円、30人以上の団体100円、18歳以下無料。この券で山頂の小牧山歴史館にも入れる[14]
確認日: 2026-10-03
小牧山歴史館
時間
9:00〜16:30(有料エリアへの入場は16:15まで⁠)
休館・休み
第3木曜(祝日のときは翌平日)⁠、年末年始(12月29日〜1月3日)
料金
一般200円、30人以上の団体100円、18歳以下無料(れきしるこまきと⁠共通)[13]
確認日: 2026-10-03

車・駐車場

小牧ICから約5分。小牧市役所駐車場(終日・無料・294台)⁠、小牧山北駐車場(最初の2時間無料、以後30分100円・50台)⁠、バス専用駐車場(無料・大型4台)⁠がある。カーナビは「小牧山歴史館」か「小牧市役所」で探す。[16][17]

確認日: 2026-10-03
公園・城域の開放時間
未確認確認日: 2026-10-03
所要時間の目安編集部の目安
大手道で山頂へ登り、歴史館とれきしるこまきを見るなら2時間前後が目安
階段・坂・足もと
標高85.9mの小山で、ふもとから山頂までは坂と⁠階段を歩いて約15分。搦手側は「五段坂」と⁠呼ばれるジグザグの坂が続く。[12][10]
車椅子・ベビーカー
未確認確認日: 2026-10-03
トイレ・休憩
未確認
英語案内・音声ガイド
英語の案内は未確認。
季節の楽しみ
春は桜、秋は紅葉が楽しめる。[10]
撮影のルール
れきしるこまきの常設展示室内は撮影できない。小牧山歴史館は1階フォトスポット⁠と4階展望室を除き館内の撮影は不可。山ではドローン・ラジコンヘリを使えない。[14][13][18]
工事・休館・立入制限
園路への倒木・落枝に注意するよう市が呼びかけている。[19]確認日: 2026-10-03

周辺の楽しみ

博物館

小牧市創垂館

小牧山の南のふもとにある1888年築の迎賓館。2022年に建設当初の姿に戻され、2025年に国の登録有形文化財⁠になった。施設の利用がない日は見学できる(木曜休館)⁠。[15]

確認日: 2026-10-03

編集部ガイド(見どころレビュー)

資料と⁠確認した情報をもとにした編集部の解説です。現地訪問の体験談ではありません。

こんな人におすすめ

信長や⁠家康が好きな人、天守よりも石垣や⁠土塁から城の歴史を読み解きたい人、名古屋から気軽に行ける城跡を探している人に向く。

ここを見ると⁠面白い

山の上と⁠山のふもとで「時代が違う」ことを意識して歩くと⁠面白い。山頂近くの石垣は1563年の信長の城、ふもとの二重の土塁と⁠堀は1584年の家康側の陣城。れきしるこまきで「佐久間」の墨書の石を見てから登ると、石垣の見え方が変わる。

訪ねる前に

山頂の歴史館は昔の天守の再現ではなく、1968年に京都の飛雲閣をモデルに建てられた建物。車は山に入れないので、ふもとから歩いて登る。両館とも第3木曜が休館。

楽しみかた

南の大手口から大手道を登って信長の正面ルートをたどり、帰りは搦手側の五段坂や⁠土塁の断面展示を通ると、二つの時代の城をひと回りで見られる。歴史館の4階展望室からは濃尾平野を360度見渡せ、信長が見た美濃の方角も確かめられる。

訪問者レビュー

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異説・未確認の⁠点

出典

  1. 1
    続日本100名城一覧公益財団法⁠人日本城郭協会jokaku確認日:
  2. 2
    史跡小牧山の沿革織田信長の小牧山城小牧市municipal確認日:
  3. 3
    史跡小牧山の沿革小牧・長久手の合戦小牧市municipal確認日:
  4. 4
    史跡小牧山概要版小牧市municipal確認日:
  5. 5
    史跡小牧山の位置、指定、現況小牧市municipal確認日:
  6. 6
    『史跡小牧山(小牧山城)発掘調査報告書2 -主郭地区第1〜8次発掘調査』を発刊しました小牧市municipal確認日:
  7. 7
    史跡小牧山の歴史れきしるこまき(こまき市民文化財団)official確認日:
  8. 8
    小牧山城墨書石垣石材小牧市municipal確認日:
  9. 9
    主郭地区の試掘調査小牧市municipal確認日:
  10. 10
    おすすめ散策コースれきしるこまき(こまき市民文化財団)official確認日:
  11. 11
    史跡小牧山の沿革江戸時代以降小牧市municipal確認日:
  12. 12
    小牧山歴史館小牧市municipal確認日:
  13. 13
    小牧山歴史館れきしるこまき(こまき市民文化財団)official確認日:
  14. 14
    れきしるこまき(小牧山城史跡情報館)こまき市民文化財団official確認日:
  15. 15
    小牧市創垂館こまき市民文化財団official確認日:
  16. 16
    アクセスれきしるこまき(こまき市民文化財団)official確認日:
  17. 17
    小牧山歴史館交通アクセス小牧市municipal確認日:
  18. 18
    史跡小牧山を利用する皆様へ小牧市municipal確認日:
  19. 19
    史跡小牧山の利用案内小牧市municipal確認日:
  20. 20
    日本100名城・続日本100名城一覧公益財団法⁠人日本城郭協会jokaku確認日:
  21. 21
    Wikipedia「小牧山」Wikipedia日本語版wikipedia確認日:
  22. 22
    Wikidata Q2969495Wikidatawikidata確認日:

掲載の状況

  1. 候補を発見確認済み
  2. 城郭・城跡と⁠して確認確認済み
  3. 基本情報を掲載確認済み
  4. 詳細記事を掲載確認済み
  5. 写真の利用条件を確認確認済み
  6. 訪問情報を確認確認済み

近くの⁠城

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