星形の先端(稜堡)の一つと、そのまわりの水堀と石垣(2025年12月撮影)。堀が角で鋭く折れ曲がる。
SuikoteiCC BY 4.0Wikimedia Commons

長野県 · 佐久市

龍岡城

た⁠つおかじょう

Tatsuoka Castle

長野県佐久市

城平城続日本100名城 127番

この城らしさ

星形の堀の内側で、明治から2023年まで小学生が学んでいた。

なぜ?

龍岡城は幕末に西洋の築城法で造られた星形の陣屋です。明治に建物が取り壊されたあと、残った御台所(おだいどころ)⁠に学校が移り、城跡はそのまま田口小学校の校地になりました。小学校は2023年3月⁠に閉校し、市は校舎を取り壊して築城当時に近い姿に戻す計画を進めています。[1][2][6]

見逃したくない3つ

01
星形の先端(稜堡)の一つと、そのまわりの水堀と石垣(2025年12月撮影)。堀が角で鋭く折れ曲がる。SuikoteiCC BY 4.0Wikimedia Commons

星の角に沿って折れ曲がる石垣と⁠水堀

見る場所
城跡の外まわり。堀ばたの道を歩いて一周できる
注目する部分
外へとがって突き出した⁠角(稜堡・りょうほ)と、その角で鋭く向きを変える石垣と⁠水堀
ここが面白い
とがった角をいくつも外へ出すのは、大砲の時代に西洋で生まれた城の形です。角の先に大砲を置き、となりの角どうしで十字に撃ち合って敵を近づけない狙いがありました。この星形の城は、函館の五稜郭と⁠龍岡城の二つしか日本にないと⁠市は説明しています。[1][2][10]
見られるか
外から見られる外から自由に見られる。観覧無料。
02
城の建物でただ一つ城内に残る御台所(お台所)。内部の見学は予約制。地理さんCC BY-SA 3.0Wikimedia Commons

城内にただ一つ残る御台所

見る場所
堀の内側(旧田口小学校の敷地内)
注目する部分
白い壁に黒い板張りの大きな建物の外観
ここが面白い
明治の取り壊しのあと、城の建物で城内に残ったのはこの御台所(台所の建物)だけです。近くの寺から学校が移ってきて最初に使ったのもこの建物で、ここから城跡と⁠学校の長いつながりが始まりました。[1][2]
見られるか
一部見られる外観のみ。内部は予約制(原則20名以上⁠の団体、2週間前までに佐久市文化財事務所へ)⁠。毎年5月の連休に一般公開がある。
03

五稜郭展望台から見る星の⁠形

見る場所
城跡の北の山、田口城跡に整えられた展望台。登山口から遊歩道で15〜20分
注目する部分
田んぼと⁠家並みの中に浮かぶ、星形の堀の輪郭
ここが面白い
地上を歩いていると⁠星形はなかなか実感できません。上から見下ろせるのはこの展望台だけと⁠佐久市観光協会⁠は紹介しています。[10]
見られるか
外から見られる無料。山道を登る。

訪問の目安

最寄り駅
JR臼田駅から徒歩約20分
登り
登りなし
所要時間の目安編集部の目安
堀のまわり一周と⁠ガイダンスセンター⁠で約1時間。展望台まで登るなら、さらに1時間ほど見ておく
料金
無料
時間
4〜10月 9:00〜17:00、11〜3月 9:00〜16:00
立入り
一部のみ見学できる

城跡のまわり(堀ばた⁠)⁠は自由に歩ける。観覧無料。堀の内側には旧田口小学校の校舎が残っており、城内のどこまで立ち入れるかは公式の案内に⁠書かれていないので、現地の表示に従う。御台所の内部は予約制(原則20名以上⁠の団体、2週間前までに文化財事務所 0267-63-5321)で、毎年5月の連休に一般公開。続日本100名城⁠のスタンプは龍岡城跡ガイダンスセンター(五稜郭であいの館)⁠の入口の外にあり、休館日や⁠時間外でも押せる。御城印と⁠売店は9:00〜16:00。

確認日:

この城の物語

01
史実

なぜ佐久に移ってきたのか

大給(おぎゅう⁠)松平家は、三河国の奥殿(いまの愛知県岡崎市)⁠を本拠にしていましたが、領地は佐久に1万2千石、奥殿に4千石と、大部分が佐久にありました。佐久には陣屋を置いて25の村を治めていました。幕末に世の中が騒がしくなると、11代の松平乗謨(のりかた)⁠は本拠を信州へ移すことを決め、1863年に田野口の地に新しい陣屋を建てると⁠決めました。[2]

02
史実

西洋の兵学にくわしい大名が設計

松平乗謨は幕府の陸軍奉行・陸軍総裁・老中格などをつとめた人物で、洋学にくわしく、藩の兵の訓練にもいち早くフランス式を取り入れました。新しい陣屋には、フランスのヴォーバン元帥⁠が考えたとされる稜堡式の築城法を使いました。工事は1864年に始まり、1867年に完成。用地や⁠石材・木材は領内から差し出され、費用は4万両余りにのぼりました。[1][2]

03
史実

城ではなく「陣屋」、そして未完成

陣屋とは、城を持つ格式のない小さな藩の役所と⁠藩主の住まいのことです。龍岡城も、藩主の政務と⁠住居をかねた御殿を中心に造られました。星形は大砲で十字に撃ち合うための形ですが、砲台が置かれたのは西側の稜堡だけで、堀も5つの角のうち3つのまわりしか掘られず、南西と⁠西の約270mは未完成のままでした。瓦は全部用意したのに使ったのは1割ほどだったと⁠伝わります。[1][2][11]

04
史実

取り壊され、散らばった建物

完成からわずか数年で藩はなくなり、1872年に城は⁠取⁠り⁠壊されました。堀と⁠石垣、そして御台所だけが城内に残りました。大広間・書院・東通用門・薬医門などは、佐久市内のあちこちへ移されて今も残っています。乗謨は明治に大給恒(おぎゅうゆずる⁠)⁠と⁠名を改め、日本赤十字社の前身・博愛社の創設に力を尽くしました。城跡にはその胸像があります。[1][2]

05
史実

城の中の小学校

1875年、残った御台所に近くの蕃松院から尚友学校が移り、城跡は学校になりました。その後も田口小学校の校地と⁠して使われ、星形の堀の内側で子どもたちが学ぶ珍しい風景が続きました。1934年には国の史跡になっています。田口小学校は地域の4校の統合で2023年3月⁠に閉校しました。[1][2][6]

06
史実

学校のあとを史跡公園へ

佐久市は閉校を見すえて「史跡龍岡城跡整備基本計画」をつくりました。旧田口小学校の校舎を取り壊し、地面の下の遺構を発掘で確かめたうえで、史跡公園と⁠して整え、築城当時の建物の表示や⁠復元ができるかも検討すると⁠しています。これまでに石垣の調査や⁠堀の泥さらい、案内施設の増築が行われ、2026年4月には城跡の北の「五稜郭であいの館」が「龍岡城跡ガイダンスセンター」に名前を変えました。[3][5][6][7]

この城の人びと

年表

  1. 新しい陣屋の工事が始まる[1][2]

  2. 完成(4月に竣工の祝い⁠)[1][2]

  3. 廃藩のあと⁠城が取り壊される[2]

  4. 御台所に学校が移り、城跡が学校になる[6]

  5. 国の史跡に指定[2][8]

  6. 続日本100名城⁠に選ばれる[9][11]

  7. 城跡の田口小学校が閉校[1]

建物と⁠遺構

天守の状態

もともと⁠天守なし

藩主の御殿を中心にした陣屋で、天守はもともとない。

城全体のいま

星形の水堀・石垣・土塁が残り、その内側には2023年に閉校した旧田口小学校の校舎と⁠校庭がある。城跡の北に案内施設(龍岡城跡ガイダンスセンター)⁠、隣に五稜郭公園がある。まわりは田畑と⁠住宅地。

主な建物

現存

御台所(お台所)

御殿の一部で、城内にただ一つ残る建物。学校の校舎と⁠しても使われた。内部は予約制、5月の連休に一般公開。[1][2]

移築して現存

大広間・書院・東通用門・薬医門など

明治の取り壊しのあと、佐久市内の別の場所に移されて残る。[2]

現存しない

御殿

藩主の政務と⁠住まいをかねた建物。1872年に取り壊された。[1][2]

基本データ

種類
城
地形による分類
平城平地に堀をめぐらせて築いた⁠城編集部記事
時代
近世編集部記事
天守の状態
もともと⁠天守なし天守は⁠建てられなかった編集部記事
築城者
松平乗謨日本城郭協会
築城
元治元年(1864)~慶応3年(1867)日本城郭協会
主な城主
松平(大給)⁠氏日本城郭協会
廃城
1871年Wikipedia
見られる遺構
櫓・櫓台・石垣・土塁・⁠堀編集部記事
文化財指定
国史跡(龍岡城跡)(1934年)編集部記事
名城選定
続日本100名城 127番日本城郭協会

旅の情報

立入り

一部のみ見学できる

城跡のまわり(堀ばた⁠)⁠は自由に歩ける。観覧無料。堀の内側には旧田口小学校の校舎が残っており、城内のどこまで立ち入れるかは公式の案内に⁠書かれていないので、現地の表示に従う。御台所の内部は予約制(原則20名以上⁠の団体、2週間前までに文化財事務所 0267-63-5321)で、毎年5月の連休に一般公開。続日本100名城⁠のスタンプは龍岡城跡ガイダンスセンター(五稜郭であいの館)⁠の入口の外にあり、休館日や⁠時間外でも押せる。御城印と⁠売店は9:00〜16:00。

住所

長野県佐久市田口3000番地1[2]

確認日: 2026-10-03

最寄り駅と⁠行き方

JR臼田駅JR小海線

徒歩約20分 · 登りなし

駅から徒歩20分弱(タクシー約5分)⁠。平らな道。[10]

確認日: 2026-10-03
JR龍岡城駅JR小海線

徒歩約25分 · 登りなし

駅から徒歩25分弱(タクシー約5分)⁠。平らな道。[10]

確認日: 2026-10-03

開館時間・料金

龍岡城跡ガイダンスセンター(五稜郭であいの館)
時間
4〜10月 9:00〜17:00、11〜3月 9:00〜16:00
休館・休み
月曜(祝日の場合は翌日)⁠、祝日の翌日、12月29日〜1月3日
料金
無料[3][2][4]
確認日: 2026-10-03

車・駐車場

上信越道佐久ICから約30分。ガイダンスセンター(約10台)⁠と五稜郭公園(24台)⁠に無料駐車場がある。[10]

確認日: 2026-10-03
公園・城域の開放時間
未確認確認日: 2026-10-03
所要時間の目安編集部の目安
堀のまわり一周と⁠ガイダンスセンター⁠で約1時間。展望台まで登るなら、さらに1時間ほど見ておく
階段・坂・足もと
城跡と⁠駅からの道は平ら。展望台(田口城跡)へは登山口から遊歩道を15〜20分登る。[10]
車椅子・ベビーカー
未確認確認日: 2026-10-03
トイレ・休憩
未確認
英語案内・音声ガイド
英語の案内は確認できなかった。
季節の楽しみ
春は堀の土手の桜が咲き、その時期には地元の龍岡城五稜郭保存会⁠が案内施設でお茶をふるまっている。[6]
撮影のルール
未確認
工事・休館・立入制限
市は旧田口小学校の解体と、史跡内の発掘調査を予定している(時期は未確認)⁠。工事や⁠調査の間は立ち入れる範囲が変わることがあるので、訪問前に文化財事務所かガイダンスセンター(0267-82-0230)⁠に確かめると⁠安心。[7][5]確認日: 2026-10-03

周辺の楽しみ

博物館

川村吾蔵記念館

城跡のとなりの五稜郭公園の中にある市立の美術館。アメリカで活躍した臼田出身の彫刻家・川村吾蔵の作品を展示する。[13][10]

確認日: 2026-10-03

博物館

旧中込学校

1875年に建てられた洋風の校舎で、国の重要文化財・史跡。龍岡城と⁠同じく明治の学校の姿を伝える。城跡から車で約11分。[14][10]

確認日: 2026-10-03

編集部ガイド(見どころレビュー)

資料と⁠確認した情報をもとにした編集部の解説です。現地訪問の体験談ではありません。

こんな人におすすめ

函館の五稜郭を見た人、幕末の歴史が好きな人、ふつうの日本の城とはちがう形の城を見てみたい人に向く。人が少なく、静かな山あいで落ち着いて歩ける。

ここを見ると⁠面白い

堀ばたを歩いて、角ごとに石垣と⁠堀が鋭く折れ曲がるところを見る。次に展望台から星の形を確かめると、歩いた道がどこだったかがつながる。御台所と、堀の内側の旧校舎もあわせて見ると、この城跡が150年近く学校だったことが実感できる。

訪ねる前に

天守や⁠大きな櫓はない。堀の内側には閉校した小学校の校舎が残り、今後取り壊しと⁠発掘調査が予定されている。城内で入れる範囲は現地の表示に従う。駅から歩くと⁠20〜25分かかり、駅からのバスは公式で確認できなかったので、タクシーか車も考えておく。

楽しみかた

まずガイダンスセンター⁠で映像と⁠展示を見て、松平乗謨(大給恒)⁠がどんな人だったかを知ってから歩くと⁠面白い。体力があれば展望台へ登り、星形を上から見たい。春の桜の時期は堀の土手が花で埋まる。

訪問者レビュー

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異説・未確認の⁠点

出典

  1. 1
    龍岡城五稜郭佐久市municipal確認日:
  2. 2
    国史跡龍岡城跡佐久市教育委員会文化財事務所municipal確認日:
  3. 3
    佐久市国史跡龍岡城跡ガイダンスセンター(五稜郭であいの館)佐久市municipal確認日:
  4. 4
    「続日本100名城」スタンプラリー開催中!!佐久市municipal確認日:
  5. 5
    史跡龍岡城跡整備基本計画佐久市municipal確認日:
  6. 6
    第16回子ども議会「地域の特色の知名度向上」(市長答弁)佐久市municipal確認日:
  7. 7
    総合計画審議会部会資料(2026年6月2日・文化施設の充実と⁠有効活用)佐久市municipal確認日:
  8. 8
    龍岡城跡文化遺産オンライン(文化庁)heritage確認日:
  9. 9
    続日本100名城一覧公益財団法⁠人日本城郭協会jokaku確認日:
  10. 10
    龍岡城五稜郭|信州⁠に残る星形城郭。歴史と⁠見どころ・アクセス案内佐久市観光協会tourism確認日:
  11. 11
    龍岡城五稜郭佐久市観光協会tourism確認日:
  12. 12
    龍岡城(補助資料)Wikipedia日本語版other確認日:
  13. 13
    川村吾蔵記念館佐久市municipal確認日:
  14. 14
    重要文化財・国史跡旧中込学校佐久市観光協会tourism確認日:
  15. 15
    日本100名城・続日本100名城一覧公益財団法⁠人日本城郭協会jokaku確認日:
  16. 16
    Wikipedia「龍岡城」Wikipedia日本語版wikipedia確認日:
  17. 17
    Wikidata Q10856353Wikidatawikidata確認日:

掲載の状況

  1. 候補を発見確認済み
  2. 城郭・城跡と⁠して確認確認済み
  3. 基本情報を掲載確認済み
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  6. 訪問情報を確認確認済み

近くの⁠城

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