日本舞踊を知る 日本舞踊 GUIDE
満開の桜の吉野山を旅する静御前と忠信。山あいには狐の姿がほのかに浮かぶ

絵でわかる日本舞踊
「吉野山」

観る前に3分。
物語を少し知るだけで、
舞台がもっと面白くなる。

3分で吉野山を知る
01First, remember this

これは、
「会いたい人」を追って
吉野山を旅する物語。

静御前

愛する義経を追って、
吉野へ向かう女性。

「義経さまに会いたい」

忠信

静と一緒に旅する、
義経の家来の姿をした男。

「……でも、実は秘密がある。」
02Three characters

登場人物は、
3人だけ覚える。

静御前

義経を愛する女性。義経がいると聞いた吉野へ向かう。

義経に会いたい

源義経

都を追われ、吉野にいると噂される。この舞踊では「静が会いたい人」で十分。

静が探している人
佐藤忠信義経の家来・忠信の姿で、静と旅をする。しかし……
実は、狐。源九郎狐と呼ばれる狐です。
03The most important secret

なぜ狐が、
静についてくるの?

答えは、静が持っている鼓にあります。

静御前が持つ初音の鼓を、二頭の親狐の魂と子狐が慕って見つめる日本画風イラスト

忠信の姿をした狐は、
父と母を慕い、
初音の鼓についてきている。

04Two longings

二人の「会いたい」

義経を遠くに想う静御前と、初音の鼓を通して父母を慕う狐忠信を一つの吉野山に描いた日本画風イラスト

静御前

義経に会いたい

愛する人への想い

狐忠信

父と母を慕う

親の魂が宿る鼓のそばにいたい

二人とも、「会いたい」。

だから、同じ吉野山の道を進んでいる。

狐の「会いたい」は、両親を慕い、魂が宿るとされる鼓に付き添う気持ちを、初心者向けに表した言葉です。

静御前が両手で持つ金色の初音の鼓と、それを慕う親狐と子狐の日本画風イラスト
05Listen for the drum

この鼓に注目。

静御前が持っているのが、初音の鼓。
狐忠信にとって、父と母につながる特別な鼓です。

だから、鼓の音と忠信の登場・反応を結びつけて見ると、舞台がぐっと分かりやすくなります。

01静が
鼓を打つ
02「ポン……」
03桜の奥に
気配
04忠信が
現れる
満開の大桜の下、吉野山の道を歩く静御前と忠信の日本画風イラスト
06Beauty and sorrow

なぜ舞台は、
こんなに美しいの?

吉野山は桜の名所。舞台には、満開の桜が広がります。
けれど、二人の心には切なさがあります。

義経に会えない切なさ

両親を慕う切なさ

美しい桜と、
会えない切なさ。

舞う忠信の背後に、義経を守る兄・継信と屋島の合戦の記憶が浮かぶ日本画風イラスト
07A memory of battle

「あれ?
急に戦い?」

途中で、忠信は兄・佐藤継信の最期を語ります。継信は屋島の合戦で、義経を守る身代わりとなり、命を落とした人物です。

華やかな旅の踊りから、戦いを追想する勇壮な場面へ。雰囲気が変わっても、戸惑わなくて大丈夫。

戦いの場面になったら
「兄・継信の最期を思い出している」
と思えばOK。

08What to watch

観劇中は、
この4つだけ。

華やかな
吉野山の景色

初音の鼓

静が持つ
特別な鼓

忠信

「本当は狐」と
知って動きを見る

戦い

兄・継信の
最期を追想する

30-second recap

『吉野山』

これだけ覚えればOK

静御前義経に会いたい。

義経静が追っている人。

忠信静と旅する。でも本当は狐。

初音の鼓狐の父母につながる鼓。

静は義経を想い、
狐は親を想う。
二つの「会いたい」が重なる、
吉野山の旅。

🌸 桜🥁 鼓🦊 忠信⚔️ 兄の記憶
09A little more

もう少しだけ
知りたい人へ

ここから先は、時間がある人だけ。

作品の背景をもう少し詳しく知る

「吉野山」は、人形浄瑠璃・歌舞伎の名作『義経千本桜』にある「道行初音旅」をもとにした舞踊です。静と狐忠信が桜の吉野を旅する華やかな場面が描かれます。

狐の正体や初音の鼓にまつわる親子の物語は、この先の「河連法眼館」へつながります。このページでは、観劇前に役立つ部分だけを短く紹介しました。

なお「会いたい」は、このページの理解の軸として用いた表現です。作品では、狐は親の魂が宿るとされる鼓を慕い、付き添います。

Featured repertoire

藤間勘麗未の代表演目「吉野山」

藤間流 勘右衞門派 師範・藤間勘麗未の代表演目のひとつ。

藤間勘麗未を知る