日本
温泉の定義
温泉法(1948年)。25℃以上、または19成分のいずれかが基準以上。泉質名が付く「療養泉」は別の基準。
地質と熱源
環太平洋火山帯。火山性の酸性泉・硫黄泉と、深い掘削による非火山性の塩化物泉・モール泉が共存。
裸か水着か
裸が原則。男女別。水着は基本的に不可で、混浴は一部に残り、湯浴み着を貸す所が増えている。
共同浴場・温泉プール・スパ
旅館の内湯、共同浴場(外湯)、日帰り温泉。温泉プールは少ない。足湯が町中にある。
湯治・保養・レジャー
湯治の伝統は残るが、現代の主流は1〜2泊の保養・観光。42℃前後の熱い湯に短時間。
宿泊との関係
宿と湯が一体。「温泉旅館」は宿泊・食事・入浴が一つの商品。泊まらなくても入れる施設も多い。
食・街歩き・地域文化
温泉街(浴衣で歩く)、温泉卵・地獄蒸しなど湯の熱を使う食、温泉番付や文学との結びつき。
飲泉
一部に飲泉所があるが、ヨーロッパほど一般的ではない。許可と目安量の掲示が必要。
料金の仕組み
共同浴場 100〜500円、日帰り温泉 500〜2,000円、旅館は1泊2食で1〜5万円が中心。入湯税(多くは150円/泊)が別にかかる。
アイスランド
温泉の定義
日本のような法的定義はなく、地熱水を使うプールや自然の湯を広く hot spring / geothermal pool と呼ぶ。
地質と熱源
大西洋中央海嶺の上。国土の暖房の9割が地熱で、地熱発電の副産物の湯を使う施設(ブルーラグーン)もある。
裸か水着か
水着。ただし入る前に更衣室のシャワーで裸で全身を洗うことが厳しく求められる。
共同浴場・温泉プール・スパ
各町の公営温水プール(sundlaug)が生活の中心。観光向けのラグーン型スパと、野外の自然温泉(Reykjadalur の川)もある。
湯治・保養・レジャー
日常の社交とレジャー。ホットタブ(heitur pottur)で近所の人と話す文化。治療目的は少ない。
宿泊との関係
宿と湯は基本的に別。プールは町の施設。ラグーン型スパにホテルが併設される例はある。
食・街歩き・地域文化
プールが「広場」。レイキャビクの市民プールは朝から通勤前の人で賑わう。
飲泉
飲泉の文化はほとんどない。
料金の仕組み
公営プールは大人1,000〜1,500 ISK程度。ラグーン型スパは数千〜1万円超と幅が大きい。
台湾
温泉の定義
温泉法(2003年)があり、30℃以上または成分基準で温泉と定める。温泉標章(認証マーク)制度がある。
地質と熱源
日本と同じ火山帯。北投(硫黄・酸性、北投石の産地)、陽明山、知本、礁渓など。日本統治期に温泉文化が持ち込まれた。
裸か水着か
二つの様式が並ぶ。日本式の男女別・裸の「大衆池」と、水着の屋外温泉プール。個室風呂(湯屋)が非常に多い。
共同浴場・温泉プール・スパ
温泉ホテルの個室、公衆温泉、温泉リゾート。北投には日本統治期の公衆浴場を博物館にした北投温泉博物館。
湯治・保養・レジャー
レジャーと家族・カップルの個室利用が中心。冬の娯楽。
宿泊との関係
温泉ホテルが多く、客室に温泉があるのが一般的。日帰りの個室利用(1〜2時間)も普通。
食・街歩き・地域文化
温泉卵、温泉街の夜市、礁渓の温泉野菜。北投は台北市内から地下鉄で行ける。
飲泉
一般的ではない。
料金の仕組み
公衆温泉数十〜数百元、個室は1時間500〜2,000元程度。
ニュージーランド
温泉の定義
法的な温泉の定義はなく、地熱の湯を使う施設を hot pools / thermal pools と呼ぶ。
地質と熱源
北島のタウポ火山帯(ロトルア、タウポ)。マオリの人々が調理と入浴に使ってきた。南島のハンマースプリングスは非火山性。
裸か水着か
水着。公共のプールでは必須。
共同浴場・温泉プール・スパ
温度の違う複数のプールを持つ温泉施設、個室プール、川や湖畔の自然の湯(ケロシンクリーク、ホットウォータービーチ)。
湯治・保養・レジャー
レジャーと家族の行楽。ロトルアには保養地としての歴史(1908年のバスハウス)。
宿泊との関係
宿と湯は別が多い。モーテルに温泉プールを持つ所もある。
食・街歩き・地域文化
マオリのハンギ(地熱蒸し料理)と温泉、ロトルアの硫黄の匂いの街。
飲泉
飲泉の文化はほとんどない。
料金の仕組み
公共の温泉プール NZ$20〜40程度、個室プールは別料金。
ハンガリー
温泉の定義
30℃以上の地下水を温泉(termálvíz)、医学的効果が認められたものを薬用水(gyógyvíz)として国が認定する制度。
地質と熱源
火山ではなく、地殻が薄いカルパチア盆地の深い地下水。ブダペストだけで100を超える源泉。
裸か水着か
水着。かつて男女別の裸の日があった浴場(ルダシュなど)も、現在は多くが水着で混合。
共同浴場・温泉プール・スパ
オスマン時代のドーム浴場(ルダシュ、キラーイ)、19〜20世紀の宮殿のような温泉(セーチェニ、ゲッレールト)、地方の温泉プール。
湯治・保養・レジャー
医療としての温泉療法が社会保険の対象。同時にレジャー(セーチェニのチェス)。
宿泊との関係
宿と浴場は別。ヘーヴィーズなどの保養地では温泉ホテルに医師が常駐する。
食・街歩き・地域文化
浴場は社交の場。ブダペストの「温泉パーティー」も。
飲泉
飲泉の伝統がある(ブダペストの飲泉所、ハンガリーのミネラルウォーター産業)。
料金の仕組み
ブダペストの大浴場は1日券 8,000〜12,000フォリント程度。地方はより安い。
イタリア
温泉の定義
ローマ時代からの terme(テルメ)。治療効果が認められた鉱泉を保健省が認定し、処方で温泉療法を受けられる。
地質と熱源
火山性(ナポリ周辺、イスキア島、シチリア)と、トスカーナの石灰華の湯(サトゥルニア)など多様。
裸か水着か
水着。公共の温泉やテルメでは必須。
共同浴場・温泉プール・スパ
医療的なテルメ(泥療法、吸入)、ホテル併設のサーマルプール、無料の自然の温泉(サトゥルニアの滝、バーニョ・ヴィニョーニの水路)。
湯治・保養・レジャー
療養(国の保険で年1回の温泉療法)と、ウェルネス・レジャー。
宿泊との関係
温泉ホテルが多いが、村の温泉は宿と別。
食・街歩き・地域文化
ローマの浴場文化の記憶、トスカーナの温泉村の食とワイン。
飲泉
飲泉の伝統が強い(モンテカティーニ、フィウッジ)。
料金の仕組み
自然の温泉は無料〜数ユーロ、テルメは20〜60ユーロ程度。
ドイツ
温泉の定義
20℃以上の泉水を Thermalquelle、成分基準を満たす治療用の湯を Heilquelle として州が認定。「Bad(バート)」を名乗る町は認定された保養地。
地質と熱源
火山は少なく、深い地下水が主。バーデン・バーデン、アーヘン、ヴィースバーデンはローマ時代からの温泉。
裸か水着か
二つの文化。サウナ区域は裸(混浴)が原則。プール区域は水着。バーデン・バーデンのフリードリヒス浴場は全館裸。
共同浴場・温泉プール・スパ
テルメ(大型の温泉プール施設)、クアハウス、サウナランド。
湯治・保養・レジャー
Kur(保養療法)の伝統。医師の処方で数週間の滞在が保険の対象になる仕組みが残る。
宿泊との関係
宿と湯は別。保養地には療養ホテルと公共のテルメが並ぶ。
食・街歩き・地域文化
クアパーク(保養公園)の散歩、クアコンサート。
飲泉
飲泉の伝統が強く、Trinkhalle(飲泉ホール)がある。
料金の仕組み
テルメは2〜4時間で15〜35ユーロ程度。
トルコ
温泉の定義
温泉(kaplıca)と鉱泉を保健省が認定。療養施設の基準がある。
地質と熱源
地殻変動の激しい国土で温泉が非常に多い。パムッカレの石灰華段丘は世界遺産。
裸か水着か
水着。ハマム(トルコ風呂)は腰布で、男女別。
共同浴場・温泉プール・スパ
温泉ホテルのプール、公共のカプルジャ、ハマム。パムッカレの「クレオパトラのプール」は遺跡の中。
湯治・保養・レジャー
療養(リウマチなど)が大きく、家族で長期滞在する文化。
宿泊との関係
温泉ホテルに泊まって療養するのが一般的。
食・街歩き・地域文化
ハマムの垢すりと泡洗い、温泉地の家族旅行。
飲泉
鉱泉水の飲用は一般的。
料金の仕組み
公共のカプルジャは安価、温泉ホテルは宿泊料に含まれることが多い。
アメリカ
温泉の定義
連邦の統一定義はない。地質調査所(USGS)は thermal spring を周囲の平均気温より高い泉と定義。州ごとに規制が違う。
地質と熱源
西部の火山・地殻変動地帯(イエローストーン、カリフォルニア、コロラド、アイダホ)に集中。イエローストーンの熱水は入浴禁止。
裸か水着か
水着が基本。一部の自然の温泉や私設の湯では clothing optional(裸可)。
共同浴場・温泉プール・スパ
リゾートの温泉プール(グレンウッド・スプリングス)、ウェルネス系のスパ(エサレン)、国有地の野外の湯。
湯治・保養・レジャー
レジャーとウェルネス。19世紀には療養地(ホットスプリングス国立公園)として栄えた歴史。
宿泊との関係
リゾートでは一体。野外の湯は宿と無関係。
食・街歩き・地域文化
先住民の聖地としての温泉、西部開拓時代の温泉町。
飲泉
ほとんどない(サラトガ・スプリングスなど歴史的な例)。
料金の仕組み
リゾートは US$20〜80、野外の湯は無料〜数ドル。