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午前0時の実験室

試験放送 #1

苦手な味との再会

子どもの頃に苦手だった食べ物を、好きになる瞬間と味の記憶を考えます。

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ふたりの会話を読む

音声とあわせて、今夜の掛け合いを文字でも楽しめます。

オープニング

ハル

午前0時の実験室。今日も何かを試している二人です。進行はハル。

ゲンさん

ゲンさんです。今夜は、舌より記憶のほうが頑固かもしれない話なんだよね。

ハル

子どもの頃は苦手だったのに、今は好きな食べ物。あの変化、何が起きたんでしょう。

ゲンさん

味が変わったのか、自分が変わったのか。まあ、口の中から調べてみよう。

今日のメイン

ハル

ゲンさん、子どもの頃に苦手だった味、あります?

ゲンさん

キャラ世界の小話だけど、青い野菜だなあ。皿の端へ寄せて、食卓の風景に擬態させていた。

ハル

食べてないのに風景扱い。ちょっと待って、それは克服じゃなくて展示です。

ゲンさん

そうなんだよね。苦いと思う前に、見ただけで心が店じまいしていた気がする。

ハル

つまり味そのものより、「苦手なやつが来た」という予告が強かった?

ゲンさん

たぶんね。口はまだ何も言っていないのに、記憶が先に判決を出す。昔の判定を守りたがる門番みたいだ。

ハル

では門番を説得しましょう。それ、試した? 調理の仕方を変えるとか。

ゲンさん

そこが面白い。焼き方や切り方が違うだけで、別人として入ってくるように感じることはあるなあ。

ハル

私は、克服しようと大盛りにするのがまず危ないと思います。苦手との会談に団体客を呼んでる。

ゲンさん

量で押し切ると、失敗の印象まで大盛りになる。これは商売でも避けたい売り方だね。

ハル

もし私なら、好きな料理の横に少しだけ置く。主役にせず、顔見知りから始めます。

ゲンさん

なるほど。ここはハル先生に聞こう。香りでもう嫌だと思ったら、どう段取りする?

ハル

無理に食べないです。まず近くに置いて平気か、次に香りはどうか。そこで嫌なら撤収。

ゲンさん

撤収を負けにしないわけだ。口へ運ぶことだけを成功にすると、実験が急に根性試しになる。

ハル

そう。嫌いの確認だって結果です。今日は近くに置けた、でも十分だと思う。

ゲンさん

昔、似たようなことやってさ。キャラ世界の話だけど、苦手な味を甘くすれば勝てると思った。

ハル

その顔、絶対に勝ってない。何をしたんです?

ゲンさん

想像の鍋へ甘い味を足し続けた。苦手な味は消えず、甘さと並んで座っただけだったなあ。

ハル

味の会議が混雑しただけですね。しかもゲンさん、甘いもの苦手でしょう。

ゲンさん

だから全員と折り合えなかった。隠すより、別の食べ方で輪郭を確かめるほうがよかったのかもしれない。

ハル

あと、誰と食べたかも残りません? 楽しい席の味は、少しだけ再挑戦しやすい気がする。

ゲンさん

あると思う。食べ物の記憶は、舌の日記というより、その場を丸ごと挟んだしおりに近いのかもね。

ハル

好きになったというより、昔の判定を更新できた。そう考えると、味覚より再審ですね。

2人の寄り道

ゲンさん

その判定で思い出した。J-Catalystから新作ゲーム『はいねこ 薬棚ブースト』が公開されている。

ハル

薬簿から飛び出した苦丸・甘露・藍星を照準に入れるんですよね。名前だけで口の中が忙しい。

ゲンさん

LOCKEDの合図で追跡弾を発射する。苦手な食べ物へ向けるには、ちょっと強すぎる装備だなあ。

ハル

食卓で追跡弾は禁止です。でも私たち、食べる前から「これは苦い」と照準を固定してることはありそう。

ゲンさん

味が来る前にLOCKEDか。昔の記憶は、ずいぶん照準が速いんだよね。

ハル

そこで照準を少し外す。これは昔の一皿じゃなくて、今日の一口です、と。

ゲンさん

灰猫は五つの薬棚航路を奥へ進むそうだ。食べ方にも、別の航路があると考えると気が楽だね。

ハル

焼く航路、細かくする航路、今日は通らない航路。最後のも大事です。

ゲンさん

通らない道も地図には必要か。機械なら全部の経路を試したくなるけど、食事は競技じゃないからね。

ハル

ゲンさんは絶対、冷蔵庫を開けたら無表情で照準を構えるタイプです。

ゲンさん

もしキャラ世界の冷蔵庫なら、奥の漬物へロックド。ところが手前の鍋に追跡を阻まれる。

ハル

それはゲームじゃなくて片づけ不足です。照準より先に棚を見てください。

ゲンさん

はい。ここは素直に教わります。味の記憶も冷蔵庫も、奥に何があるか決めつけないほうがいい。

ハル

苦丸という名前でも、名前から想像した味と実際の感想は別です。食べ物も、まず照準解除から。

ゲンさん

苦手を倒す標的にせず、正体を確かめる対象にする。まあ、やってみてからだね。無理のない航路で。

今夜の一曲

ハル

ここで今夜の一曲。SHIKAKUの「吉報」です。

ゲンさん

「吉報は 僕の声になった」という一節。心の中にあったものが声になる、その瞬間を待って聴きたいね。

ハル

苦手だった味に、ほんとだ、と言える再会も重ねながら。お聴きください、SHIKAKUで「吉報」。

♪ 吉報(SHIKAKU)

エンディング

ゲンさん

お聴きいただいたのは、SHIKAKUの「吉報」でした。声にすると、心の判定まで動く感じがするね。

ハル

苦手な味も、黙って克服しなくていい。今日は違って感じた、と言葉にするだけでも更新です。

ゲンさん

昔の嫌いを消す必要もないんだよね。あの頃は苦手、今は気になる。両方あっていい。

ハル

苦手な味とは、勝負ではなく再会を。午前0時の実験室、ハルと。

ゲンさん

ゲンさんでした。では、よい夜を。

今夜の一曲

吉報

作詞・作曲 MASA / SHIKAKU

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参考リンク

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