消えゆく日本の漬物マップ — 発酵と保存の知恵を、次の世代へ —

おばあちゃんの樽の中に、
日本の記憶が漬かっている。

塩と、季節と、手のひらの知恵だけで、日本人は千年以上、食べものを未来へ送り届けてきました。けれどいま、その灯がひとつ、またひとつ消えています。

このマップは、一本の動画から始まりました。家業の漬物屋を残そうと奮闘する、熊本の息子さん。気づけば注文していて、届いた漬物は、驚くほどおいしかった——これを、なくしてはいけない。そしてきっと、全国どこも同じ状況のはずだ。買って応援することはできる。でも、もっと何かできないか。そう思って、まだ間に合ううちに、ぜんぶ地図にすることにしました。

間違いもあるかもしれません。ただただ「残ってほしい」という思いで作っています。お気づきの点は、ぜひ教えてください

Why Now

漬物は、いちばん身近な「無形文化財」だった。

漬物は買うものではなく、家で漬けるものでした。土地の野菜、土地の気候、家ごとの塩加減。同じ名前の漬物でも、隣の家とは味が違う——その多様性こそが、日本の食文化の底力でした。

いま、その足元が揺らいでいます。2024年6月1日、食品衛生法の改正により漬物の製造販売が許可制となり、営業許可を取得した施設が必要になりました。安全のための制度である一方、直売所に出していた高齢の作り手の多くが、設備投資をあきらめて樽を洗い、しまいました。加えて、在来野菜の減少、後継者不足、家庭で漬ける習慣の断絶。ひとつの漬物が消えるとき、消えるのはレシピだけではありません。その土地の野菜の種と、冬を越す知恵と、台所の風景が、一緒に消えます。

このマップは、消えゆくものの「お葬式」ではありません。まだ買える。まだ習える。まだ間に合う——その入口を、47都道府県ぶん開いておくための地図です。

それぞれの漬物のいまを、「灯(ともしび)」で表します。

※灯の数は編集部による暫定的な見立てで、確定的な調査に基づくものではありません。作り手のみなさんの努力に優劣をつけるものではなく、「どこに応援が届いてほしいか」の目安です。現地の実情をご存じの方は、ぜひ情報をお寄せください。

Find by Prefecture — 漬物歳時記

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色は、その県の代表漬物の「灯の残りぐあい」。日本のどこで灯が細くなっているか、どこに応援が届いてほしいかを示しています。県を選ぶと、下の一覧が絞り込まれます。

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漬物文化を知る、三つの鍵

1

漬物は「生きて」いる

ぬか床も、すんきも、すぐきも、乳酸菌の仕事。漬物は保存食であると同時に、日本最古のバイオテクノロジーです。

2

漬物が在来野菜を守っている

木曽の赤かぶ、三浦大根、雲仙こぶ高菜。「あの漬物のために作り続ける」野菜が全国にあります。漬物が消えると、種も消えます。

3

買うことが、いちばんの保護活動

文化は冷凍保存できません。作り手が漬け続けられること、それだけが継承です。このマップの応援リンクから、一樽ぶんの未来を買ってください。

Contribute

あなたの家の漬物を、教えてください。

このマップはまだ件。日本の漬物は、その千倍あります。「うちの集落にしかない漬物がある」「作り手のおばあちゃんを知っている」「あの店がまだ売っている」——どんな断片でも、地図の一点になります。

間違いのご指摘も、大歓迎です。「残ってほしい」という思いだけで作っている地図なので、現地の実情をご存じの方の声が、この地図を確かなものにしていきます。

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