標高約180mの山頂近くにある本丸跡(2019年10月)。建物は残っていないが、平らに削られた郭(くるわ)が広がる。
柴錬アワーCC BY-SA 4.0Wikimedia Commons

新潟県 · 上越市

春日山城

かすがやまじょう

Kasugayama Castle

新潟県上越市

城山城日本100名城 32番

この城らしさ

上杉謙信の城は、石垣も天守もなく、山ひとつを削って造られていた。

なぜ?

春日山城は標高約180mの春日山全体を使った山城で、城の広さは東西・南北とも約2kmあります。尾根を平らに削った⁠郭(くるわ)⁠や⁠空堀、土塁を山じゅうに重ね、ふもとには⁠長⁠さ約1.2kmの堀と⁠土塁で囲んだ「総構(そうがまえ)⁠」まで築きました。建物は⁠残っていませんが、地形そのものが城の跡です。[1][9]

見逃したくない3つ

01
春日山城跡から北の直江津方面と日本海を望む(2008年8月)。ELKCC BY-SA 3.0Wikimedia Commons

本丸跡からの大パノラマ

見る場所
山頂近くの本丸跡と⁠天守台跡。春日山神社から寄り道しながら歩いて約30分
注目する部分
北の日本海と⁠直江津の町、東に広がる頸城(くびき)平野、それを囲む山並み
ここが面白い
国の史跡の解説では、山頂は眺めがよく、まわりの支城を見張るのに十分な場所だったと⁠書かれています。謙信も同じ景色を見ながら、越後の国と⁠周りの城ににらみをきかせていたと⁠考えられます。[7][10][4]
見られるか
一部見られる本丸跡へは山道を登る。天守台跡は2024年の能登半島地震でひび割れが入り、ロープが張られた一部の区域は立入禁止(2024年7月時点⁠の市の案内)⁠。
02
本丸の西下にある大井戸(2019年10月)。山の上にありながら、いまも水をたたえている。柴錬アワーCC BY-SA 4.0Wikimedia Commons

山の上でも涸れない大井戸

見る場所
本丸・天守台跡から西側へ下ったところ
注目する部分
丸く口を開けた井戸と、そこにたまった⁠水
ここが面白い
山城でいちばん困るのは水です。この井戸は山の高いところにありながら、夏でも水が涸れないと⁠1935年の史跡指定の解説にも書かれ、いまも水をたたえています。籠城(ろうじょう⁠)⁠に耐えられる城だった理由のひとつです。[7][10]
見られるか
外から見られる山道沿いで自由に見られる。
03

ふもとを囲む総構と⁠春日山城史跡広場

見る場所
山の東のふもと。春日山城史跡広場(春日山城跡ものがたり館のそば⁠)
注目する部分
発掘調査をもとに復元された土塁・堀・道・掘立柱(ほったてばしら)⁠の建物
ここが面白い
春日山城の大きな特徴は、家臣の屋敷や⁠空堀が広がる山すそを、⁠長⁠さ約1.2kmの堀と⁠土塁で囲んだ総構です。史跡広場では、山の上だけでなくふもとまで城だったことを体で感じられます。監物堀(けんもつぼり)⁠のカキツバタは5月上旬が見ごろです。[1][2][11]
見られるか
外から見られる史跡広場は見学自由。ものがたり館は月曜と⁠冬季(12月〜2月)休館。

訪問の目安

最寄り駅
春日山駅から徒歩約40分
登り
急な登り
所要時間の目安編集部の目安
春日山神社から本丸を回って戻る山歩きで約1時間半〜2時間(上越観光Naviのモデルコースは約1時間40分)
料金
無料
時間
9:00〜16:30
立入り
自由に見学できる

城跡(山全体)⁠は無料で自由に歩ける。天守台跡は2024年の地震の被害でロープを張った一部が立入禁止。クマとの遭遇に注意が⁠呼びかけられており、春日山観光案内所(4〜10月)⁠と埋蔵文化財センター(3月下旬〜12月上旬)⁠でクマ鈴を無料で借りられる。城跡内での火気は厳禁。日本100名城スタンプ⁠は春日山城跡ものがたり館(休館日は入口)⁠、冬季休館中は上越市埋蔵文化財センター。

確認日:

この城の物語

01
史実

越後の都を守る山の⁠砦

春日山城は、越後の国の中心だった越後府中(いまの直江津周辺)⁠を守る要害(砦)⁠と⁠して築かれました。いつ⁠築かれたかははっきりしませんが、1513年の古文書に名前が出てくるので、このころには山城と⁠して使われていたと⁠わかります。山頂からは平野と⁠海、まわりの支城まで見わたせました。[1][7]

02
研究上の解釈

謙信・景勝・堀氏が広げた⁠城

春日山城は、戦国時代の名将・上杉謙信の居城と⁠して知られます。ただ、いまのような大きな城に整えられたのは、謙信と⁠養子の景勝、そのあとの堀氏が城主だった16世紀後半と⁠考えられています。城は山頂の小さな砦から南へ広がり、屋敷の区画、さらにふもとの総構へと、段階を追って⁠大きくなっていったとみられます。[1]

03
研究上の解釈

中世から近世への変化を一か所で

城跡は、本丸から春日山神社にかけての郭のまとまり、本丸の南に広がる平らな区画、屋敷の跡、山すその総構の4つに分けられます。これらが途切れずにつながっているのは山城では珍しく、中世から近世へと⁠城の造り方が移り変わるようすを一つの城跡でたどれる貴重な例だと⁠市は説明しています。[1]

04
史実

謙信の死と⁠跡継ぎ争い

1578年3月、謙信は関東への出陣を前に急に亡くなりました。養子の景勝と⁠景虎のどちらを跡継ぎにするか⁠決めていなかったため、二人の争い(御館の乱)⁠が起こり、景勝が勝って春日山城の主と⁠なりました。その景勝も1598年、豊臣秀吉の命令で会津へ移り、堀氏が春日山城に入りました。[17][6]

05
史実

山から平地の城へ

堀氏は1607年、海と⁠川に近い平地に越後で最初の平城・福島城を築き、そちらへ移りました。春日山城はこのころ役目を⁠終えたとされます。建物は⁠残っていませんが、空堀や⁠土塁、大井戸など山城の特徴がいまもよく残っています。[6][9][12]

06
史実

史跡と⁠して守り、見せる

1935年、春日山上の本丸を中心と⁠する主な郭の跡が国の史跡になり、その後1974年・1980年・2000年に、周りの砦や⁠総構の一部などが追加で指定されました。ふもとには発掘をもとに土塁や⁠堀を復元した史跡広場が⁠整えられています。市はいま、遺構を見えやすくするため、約100年前の写真を参考に植林された杉を伐採し、総構の堀と⁠土塁の復元に向けた調査も進めています。[1][7][13][15]

この城の人びと

年表

  1. 古文書に春日山城の名が初めて出る[1]

  2. 上杉謙信が急死し、跡継ぎ争い(御館の乱)⁠が起こる[17][14]

  3. 上杉景勝が会津へ移り、堀氏が城主と⁠なる[6]

  4. 堀氏が福島城を築いて移り、春日山城は役目を終える[6][12]

  5. 謙信をまつる春日山神社が創建される[10]

  6. 国の史跡に指定(のち1974・1980・2000年に追加指定)[1][7]

建物と⁠遺構

天守の状態

確認中

山頂近くに「天守台跡」と⁠呼ばれる場所があるが、天守があったかは分かっていない(城郭協会の表記は「伝天守台のみ残る」)⁠。古い絵図に描かれた石垣や⁠天守は想像によるものが多く、発掘でも石垣や瓦は⁠見つかっていないとされる。

城全体のいま

山全体が国の史跡で、山道で郭の跡をめぐれる。中腹に春日山神社と⁠謙信公銅像、ふもとに春日山城史跡広場・ものがたり館・上越市埋蔵文化財センター⁠がある。

主な建物

再建(復興)

毘沙門堂

謙信が出陣前に戦勝を祈ったとされるお堂。いまの建物は1931年に建てられたもの(補助資料)⁠。[10][12]

再建(復興)

史跡広場の土塁・堀・掘立柱建物

発掘調査で確かめられた遺構をもとに復元。[2]

基本データ

種類
城
地形による分類
山城山の上に築いた城。登りがある編集部記事
時代
中世編集部記事
天守の状態
確認中天守の有無・状態は確認中編集部記事
築城者
不明、長尾為景・上杉謙信・景勝が整備日本城郭協会
築城
正平年間(1346~70)頃、天正年間(1573~92)日本城郭協会
主な城主
上杉氏、堀氏日本城郭協会
廃城
1607年(慶長12年)Wikipedia
見られる遺構
土塁・堀切・曲輪・井戸・虎口・門・堀・天守台編集部記事
文化財指定
国史跡(春日山城跡)(1935年)編集部記事
名城選定
日本100名城 32番日本城郭協会

旅の情報

立入り

自由に見学できる

城跡(山全体)⁠は無料で自由に歩ける。天守台跡は2024年の地震の被害でロープを張った一部が立入禁止。クマとの遭遇に注意が⁠呼びかけられており、春日山観光案内所(4〜10月)⁠と埋蔵文化財センター(3月下旬〜12月上旬)⁠でクマ鈴を無料で借りられる。城跡内での火気は厳禁。日本100名城スタンプ⁠は春日山城跡ものがたり館(休館日は入口)⁠、冬季休館中は上越市埋蔵文化財センター。

住所

〒943-0819 新潟県上越市大字中屋敷ほか[9][1]

確認日: 2026-10-03

最寄り駅と⁠行き方

春日山駅えちごトキめき鉄道妙高⁠はねうまライン

徒歩約40分 · 急⁠な登り

春日山神社・謙信公銅像まで徒歩約40分。埋蔵文化財センターから先は上り坂が続く。頸城バス「中屋敷」から徒歩20分、「埋蔵文化財センター前」から徒歩15分(いずれも春日山神社まで⁠)⁠。北陸新幹線の上越妙高駅からはタクシーで約20分(埋蔵文化財センターまで⁠)⁠。[9][3]

確認日: 2026-10-03

開館時間・料金

春日山城跡ものがたり館
時間
9:00〜16:30
休館・休み
月曜(祝日の場合は翌日)⁠、冬季(12月1日〜2月末日)⁠。ゴールデンウィーク⁠と夏休み期間(2026年は7月25日〜8月31日)⁠は無休
料金
無料[2]
確認日: 2026-10-03
上越市埋蔵文化財センター(謙信公戦国絵巻館)
時間
9:00〜17:00(展示室の入館は16:30まで⁠)
休館・休み
火曜(祝日・休日の場合は翌日)⁠、年末年始
料金
無料。春日山城の御城印は1枚300円[3]
確認日: 2026-10-03

車・駐車場

北陸自動車道上越ICから約15分、上信越自動車道上越高田ICから約20分。春日山神社下駐車場(30台・無料・大型バス可)⁠、大手道駐車場(10台・無料)⁠。[9]

確認日: 2026-10-03
公園・城域の開放時間
城跡は山林で開園時間の定めは確認できなかった確認日: 2026-10-03
所要時間の目安編集部の目安
春日山神社から本丸を回って戻る山歩きで約1時間半〜2時間(上越観光Naviのモデルコースは約1時間40分)
階段・坂・足もと
春日山神社から本丸までは山道で、坂と⁠階段が続く。埋蔵文化財センターから春日山神社までも上り坂。[9][10]
車椅子・ベビーカー
未確認(山道のため車いすでの登城は難しいと⁠考えられる⁠)確認日: 2026-10-03
トイレ・休憩
春日山神社下駐車場⁠にトイレがあり、市が2026年度に改修を予定している。[14]
英語案内・音声ガイド
観光庁が上杉謙信や⁠春日山城跡の英語解説文を作り、公開している(市の案内)⁠。現地の英語表示の範囲は未確認。[14]
季節の楽しみ
史跡広場の監物堀のカキツバタは5月上旬が見ごろ。春は山桜が咲く。冬は雪が積もり、ものがたり館は12月〜2月休館。[2][1]
撮影のルール
未確認
工事・休館・立入制限
天守台跡の一部立入禁止(2024年の能登半島地震の影響)⁠。クマに注意(クマ鈴の無料貸出あり)⁠。市は千貫門跡周辺の杉の伐採など城跡の整備を進めている。[4][5][15]確認日: 2026-10-03

歩きかたの⁠例

春日山城じっくり堪能コース(上越観光Navi) 100分

  1. 謙信公銅像前(リーフレット「春日山城跡めぐり」を手に入れる⁠)
  2. 春日山神社
  3. 千貫門跡
  4. 直江屋敷跡
  5. 毘沙門堂
  6. 本丸・天守台跡
  7. 大井戸
  8. 上杉景勝屋敷跡
  9. 柿崎屋敷跡
  10. 春日山神社へ戻る

上越観光Naviの公式モデルコース(上越ICからの車の移動を除く)⁠。柿崎屋敷跡から春日山神社へは徒歩約50分。リーフレットは銅像から神社へ向かう途中のプレハブに置いてある。天守台跡は一部立入禁止。

周辺の楽しみ

城下町

林泉寺

謙信の祖父・長尾能景が1497年に建てた寺。謙信が7〜14歳のころ、ここで名僧・天室光育の教えを受けたと⁠伝わる。[9]

確認日: 2026-10-03

博物館

上越市立歴史博物館

高田城址公園の中にある市立博物館。春日山城・福島城・高田城の三城の移り変わりを学べる。[16]

確認日: 2026-10-03

編集部ガイド(見どころレビュー)

資料と⁠確認した情報をもとにした編集部の解説です。現地訪問の体験談ではありません。

こんな人におすすめ

上杉謙信が好きな人、天守や⁠石垣ではなく土の城の形を見たい人、山歩きと⁠戦国史を一緒に楽しみたい人に向く。

ここを見ると⁠面白い

本丸跡からの眺めと⁠大井戸に加え、道すがらの郭や⁠空堀の段差に注目したい。屋敷跡には直江兼続や⁠景勝、柿崎景家など家臣の名が伝わり、山全体が一つの町のようだったことが想像できる。

訪ねる前に

本格的な山歩きになるので、歩きやすい靴と⁠水を用意したい。クマへの注意が⁠呼びかけられているので、クマ鈴を借りていくと⁠安心。冬は雪が積もる。

楽しみかた

先にふもとの埋蔵文化財センター(謙信公戦国絵巻館)⁠で城全体のジオラマを見てから登ると、いま自分が城のどこにいるかが分かりやすい。帰りに史跡広場で復元された土塁と⁠堀を見れば、山の上と⁠ふもとの両方の城を味わえる。

訪問者レビュー

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異説・未確認の⁠点

出典

  1. 1
    春日山城跡(上越市の文化財)上越市municipal確認日:
  2. 2
    春日山城史跡広場・春日山城跡ものがたり館上越市municipal確認日:
  3. 3
    上越市埋蔵文化財センター上越市municipal確認日:
  4. 4
    春日山城跡天守台跡への立ち入りを一部規制しています上越市municipal確認日:
  5. 5
    春日山城跡を訪れる皆さんへクマ鈴を貸し出します上越市municipal確認日:
  6. 6
    福島城址(地域の宝)上越市municipal確認日:
  7. 7
    春日山城跡文化遺産オンライン(文化庁)heritage確認日:
  8. 8
    日本100名城一覧公益財団法⁠人日本城郭協会jokaku確認日:
  9. 9
    春日山城跡上越観光Navi(上越市公式観光情報サイト)tourism確認日:
  10. 10
    春日山城じっくり堪能コース上越観光Navi(上越市公式観光情報サイト)tourism確認日:
  11. 11
    春日山城史跡広場・春日山城跡ものがたり館上越観光Navi(上越市公式観光情報サイト)tourism確認日:
  12. 12
    春日山城(補助資料)Wikipedia日本語版other確認日:
  13. 13
    国指定史跡春日山城跡保存管理計画上越市municipal確認日:
  14. 14
    春日山観光かわら版 No.3(令和8年8月発行)上越市municipal確認日:
  15. 15
    春日山観光かわら版 No.1(令和6年12月発行)上越市municipal確認日:
  16. 16
    上越市立歴史博物館上越観光Navi(上越市公式観光情報サイト)tourism確認日:
  17. 17
    歴史と⁠概要新発田重家⁠と上杉景勝の抗争1新発田市municipal確認日:
  18. 18
    日本100名城・続日本100名城一覧公益財団法⁠人日本城郭協会jokaku確認日:
  19. 19
    Wikipedia「春日山城」Wikipedia日本語版wikipedia確認日:
  20. 20
    Wikidata Q1197131Wikidatawikidata確認日:
  21. 21
    OpenStreetMap node/1948765554© OpenStreetMap contributors (ODbL)osm確認日:

掲載の状況

  1. 候補を発見確認済み
  2. 城郭・城跡と⁠して確認確認済み
  3. 基本情報を掲載確認済み
  4. 詳細記事を掲載確認済み
  5. 写真の利用条件を確認確認済み
  6. 訪問情報を確認確認済み

近くの⁠城

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