内堀の水面に映る松本城の天守群と、背後の山々(2019年5月撮影)。
ManishprabhuneCC BY 4.0Wikimedia Commons

長野県 · 松本市

松本城

まつもとじょう

Matsumoto Castle

長野県松本市

城平城日本100名城 27番

この城らしさ

戦うために建てた黒い天守に、平和な時代の朱塗りの月見櫓がつながっている。

なぜ?

松本城の大天守・乾小天守・渡櫓は、戦国時代の終わりに鉄砲戦に備えて建てられました。その約40年後、江戸時代の平和な時代に、戦いの備えをほとんど持たない辰巳附櫓と⁠月見櫓が加えられました。性格の違う2つの時代の建物が1つにつながった天守群は日本でここだけだと、松本城は説明しています。[2]

見逃したくない3つ

01
春の月見櫓(2012年4月撮影)。戦いの備えがほとんどない、江戸時代のはじめに加えられた月見のための櫓。KimonBerlinCC BY-SA 2.0Wikimedia Commons

平和な時代の月見櫓

見る場所
天守群の南東の端。本丸庭園から見て大天守の右手前
注目する部分
赤く塗られた手すりのある縁と、ほかの黒い壁の建物とはちがう開放的なつくり
ここが面白い
江戸時代のはじめ、松平直政の時代に辰巳附櫓とともに加えられた、月を見るための櫓です。戦いの備えをほとんど持たず、昭和11年の国宝指定のときにも、御殿のようなつくりが城の建物の中で異彩を放つと⁠記されました。大天守と⁠同じく国宝です。[2][5][12]
見られるか
一部見られる天守の観覧(有料)⁠で中に入れる。2026年10月31日までは漆の塗り直しのため一部に入れない。
02
天守の中の急な階段(2016年8月撮影)。天守内は靴を脱ぎ、階段だけで上り下りする。選挙権CC BY-SA 4.0Wikimedia Commons

天守の中の急な階段と⁠鉄砲の備え

見る場所
大天守・渡櫓・乾小天守の内部
注目する部分
最大で約61度の急な階段、壁にあいた鉄砲や⁠矢を撃つための小窓(狭間)⁠、床から下をねらう石落
ここが面白い
戦国時代の終わりに建った3棟には、狭間が115か所、石落が11か所あります。1・2階の壁は約29cmと⁠厚く、内堀の幅は火縄銃がねらいを保てるぎりぎりの約60mにしてあると⁠松本城は説明しています。五重六階の天守と⁠しては現存する天守の中で最も古いものです。[1][2][9]
見られるか
外から見られる有料。天守内は土足禁止で階段のみ(約140段)⁠。車いすでは入れない。階段付近は撮影禁止。
03
1999年に復元された太鼓門の一の門(2018年3月撮影)。Taka1CC BY-SA 4.0Wikimedia Commons

太鼓門と⁠巨大な玄蕃石

見る場所
二の丸から本丸へ向かう東側の⁠門
注目する部分
枡形(四角い囲み)⁠の門の構え、石垣にはめこまれた大きな⁠石
ここが面白い
太鼓門は明治のはじめに壊されましたが、発掘調査のあと、1999年に土台石の形に合わせて柱を削って復元されました。石垣の玄蕃石は⁠重⁠さ約22.5トン⁠の松本城最大の石で、築城した石川康長(玄蕃頭)⁠が運ばせたと⁠伝わります。[4]
見られるか
外から見られる松本城公園から自由に見られる。

訪問の目安

最寄り駅
JR松本駅(お城口)から徒歩約20分
登り
未確認
所要時間の目安編集部の目安
天守の中は空いていれば30〜40分、混んでいると⁠60分ほど(公式の目安)⁠。公園と⁠門まで見るなら1時間半ほど
料金
一般電子チケット1,200円・⁠紙チケット1,300円、小・中学生400円、未就学児無料。20名以上の団体は電子チケット1,080円・小中学生360円。障がい者手帳の提示で本人と⁠介助者1名無料
時間
8:30〜17:00(最終入場16:30)⁠。ゴールデンウィークなどは延長、正月三が日は10:00〜15:30
立入り
自由に見学できる

松本城公園は自由に歩ける。本丸庭園と⁠天守は有料。入口は黒門のみで、埋門側の入口は閉鎖中。本丸庭園と⁠天守はペット禁止(補助犬は事前に問い合わせ)⁠。

確認日:

この城の物語

01
史実

平地の「深志城」が前身

松本城は標高約590mの盆地の平地に建つ平城です。この場所には前身の深志城があり、1550年に武田信玄が信濃守護の小笠原氏を追い出すと、北信濃へ攻めこむ拠点にしました。武田氏が滅んだあと、1582年に小笠原貞慶が城を取り戻し、地名を深志から松本に改めました。[2][3]

02
史実

石川数正・康長の父子が天守を建てた

1590年、豊臣秀吉の命で石川数正が松本に入りました。数正はもと⁠徳川家康の重臣でしたが、家康のもとを離れて秀吉の家臣になった人です。数正が2年後に亡くなると、子の康長が城づくりを急ぎ、大天守・乾小天守・渡櫓を建てました。松本市の公式な見方では、天守ができたのは1593〜94年です。[3][6]

03
研究上の解釈

家康を見張る⁠城

天守が建てられた当時、徳川家康は関東に⁠移されていました。松本城は、甲府城・上田城・小諸城などとともに、秀吉側の大名が置かれた「江戸包囲網」の1つと⁠いわれます。鉄砲や⁠矢の小窓、石落、厚い壁、火縄銃の射程を意識した堀の幅は、この時代の備えです。[2]

04
史実

江戸時代に月見櫓が加わる

江戸時代になると⁠城主は6つの家で23人が入れ替わり、どの家も徳川家と⁠深いつながりを持っていました。家康の孫にあたる松平直政(城主1633〜38年)⁠の時代に、大天守に辰巳附櫓と⁠月見櫓がつけ加えられ、いまの天守群の形ができあがったと⁠いわれます。[3][5]

05
史実

売られた天守を町の人が守った

明治になると⁠天守は入札で売り払われ、取り壊されるおそれがありました。町の副戸長だった市川量造は、仲間と⁠お金を集めて天守を借り受け、1873〜76年⁠に天守で5回の博覧会を開いて取り壊しを防ぎました。その後、傷んで傾いた天守は、松本中学校長の小林有也らが募金を集め、1903〜1913年⁠に修理しました。[6][5]

06
史実

昭和の解体修理と⁠国宝

天守5棟は1936年に国宝に指定され、戦災も火災もまぬがれて、1952年に文化財保護法のもとで改めて国宝になりました。1950〜55年には国の工事で天守をすべて解体して修理し、明治の修理で変わった部分を江戸時代の姿に戻しました。いまも毎年、外壁の黒漆などの塗り直しが行われています。[1][5][12]

この城の人びと

年表

  1. 石川数正が松本に入る[3]

  2. 松本市の公式見解は1593〜94年

    石川康長が大天守・乾小天守・渡櫓を建てる[6]

  3. 松平直政の在城1633〜38年⁠の⁠間

    辰巳附櫓と⁠月見櫓が加わる[3][5]

  4. 市川量造らが天守で博覧会を開き、取り壊しを防ぐ[7]

  5. 小林有也らによる明治の大修理が終わる[7][5]

  6. 天守5棟が国宝に指定される[1][5]

  7. 昭和の解体修理が完成する[5]

建物と⁠遺構

天守の状態

現存天守

現存天守。大天守・乾小天守・渡櫓・辰巳附櫓・月見櫓の5棟が国宝。大天守は五重六階の木造で、現存する五重六階の天守と⁠しては最も古い。

城全体のいま

本丸・二の丸が松本城公園。本丸庭園と⁠天守が有料区域。内堀と⁠外堀の一部、黒門・太鼓門が整えられている。城のまわりは松本の市街地。

主な建物

現存国宝

大天守

1593〜94年築(松本市の見解)⁠。五重六階。[2][6]

現存国宝

乾小天守

大天守と⁠渡櫓でつながる。[2]

現存国宝

渡櫓

大天守と⁠乾小天守を結ぶ。[2]

現存国宝

辰巳附櫓

江戸時代のはじめに追加。[2][5]

現存国宝

月見櫓

江戸時代のはじめに追加。戦いの備えをほとんど持たない。[2][5]

再建(復興)

黒門(一の門)

1960年に復興。設計図がなく、名古屋城の門を参考にしたといわれる。二の門と⁠枡形は1989年に復元。[4]

木造で復元

太鼓門(一の門)

明治初めに壊され、発掘調査のあと⁠1999年に復元。[4]

基本データ

種類
城
地形による分類
平城平地に堀をめぐらせて築いた⁠城編集部記事
時代
中世・近世編集部記事
天守の状態
現存天守江戸時代以前に建てられた天守が今も残る編集部記事
築城者
石川数正・康長日本城郭協会
築城
文禄2~3年(1593~94)日本城郭協会
主な城主
石川氏、小笠原氏、戸田(松平)氏、松平氏、堀田氏、水野氏日本城郭協会
廃城
1871年(明治4年)Wikipedia
見られる遺構
石垣・土塁・堀・曲輪・門・天守台編集部記事
文化財指定
国宝(大天守・乾小天守・渡櫓・辰巳附櫓・月見櫓)(1952年)⁠、国史跡(松本城)(1930年)編集部記事
名城選定
日本100名城 27番日本城郭協会

旅の情報

立入り

自由に見学できる

松本城公園は自由に歩ける。本丸庭園と⁠天守は有料。入口は黒門のみで、埋門側の入口は閉鎖中。本丸庭園と⁠天守はペット禁止(補助犬は事前に問い合わせ)⁠。

住所

〒390-0873 長野県松本市丸⁠の内4番1号(松本城管理課)[1][8]

確認日: 2026-10-03

最寄り駅と⁠行き方

JR松本駅(お城口)JR篠⁠ノ井線など

徒歩約20分 · 未確認

駅から徒歩約20分。周遊バス「タウンスニーカー」北コースや⁠路線バス(浅間線)⁠で「松本城・市役所前」下車(約10分)⁠もある。[8]

確認日: 2026-10-03

開館時間・料金

松本城天守・本丸庭園(有料区域)
時間
8:30〜17:00(最終入場16:30)⁠。ゴールデンウィークなどは延長、正月三が日は10:00〜15:30
休館・休み
12月29日〜31日
料金
一般電子チケット1,200円・⁠紙チケット1,300円、小・中学生400円、未就学児無料。20名以上の団体は電子チケット1,080円・小中学生360円。障がい者手帳の提示で本人と⁠介助者1名無料[1]
確認日: 2026-10-03

車・駐車場

長野自動車道松本ICから国道158号で約3.5km・約20分。近くに市営の大手門駐車場(立体・普通車専用)などがある。[8]

確認日: 2026-10-03
公園・城域の開放時間
未確認(松本城公園)確認日: 2026-10-03
所要時間の目安編集部の目安
天守の中は空いていれば30〜40分、混んでいると⁠60分ほど(公式の目安)⁠。公園と⁠門まで見るなら1時間半ほど
階段・坂・足もと
城のまわりは平地。天守の中は狭く急な階段が続く(約140段、最大斜度約61度)⁠。[1]
車椅子・ベビーカー
天守は現存の国宝のため、エレベーターなどはなく車いすでは入れない。無料の貸出用車いすが黒門券売所・開智駐車場・大手門駐車場にある(予約不可)⁠。ベビーカーは管理事務所か天守入口で預かる。[9]確認日: 2026-10-03
トイレ・休憩
天守の中にトイレはない。障害者用トイレ⁠は本丸庭園に1か所、松本城公園に2か所。[9]
英語案内・音声ガイド
公式サイトに英語版がある。通訳ガイドボランティア(アルプス善意通訳)⁠が松本城公園に常駐している(年末年始など一部を除く)⁠。[9][11]
季節の楽しみ
春は桜。天守は一年中、日没から22:00までライトアップされる。秋は「国宝松本城Week」(2026年は11月3日〜10日)など行事が多い。[9][12]
撮影のルール
天守内の階段付近は安全のため撮影禁止。敷地内(松本城公園を含む)⁠はドローンの飛行禁止⁠(特別な許可がある場合を除く)⁠。[1][9]
工事・休館・立入制限
2026年8月24日〜10月31日⁠は天守の漆・外壁の定期メンテナンス中。天守には入れるが、外まわりの一部が足場と⁠白いテントで覆われ、月見櫓の一部に入れない。10月12日は合同茶会、10月18日は古式砲術演武(雨天中止)⁠。[12][13]確認日: 2026-10-03

周辺の楽しみ

博物館

旧開智学校

明治のはじめに建てられた学校の校舎で、国宝。2026年に創建150周年⁠を迎え、記念の特別展などを開いている。[14]

確認日: 2026-10-03

編集部ガイド(見どころレビュー)

資料と⁠確認した情報をもとにした編集部の解説です。現地訪問の体験談ではありません。

こんな人におすすめ

江戸時代から残る本物の天守に上ってみたい人、城の建物の古さや⁠仕組みを見比べたい人に向く。天守の階段はかなり急なので、足元に自信がない人は外からの眺めと⁠本丸庭園を中心にすると⁠よい。

ここを見ると⁠面白い

外からは、黒い大天守と⁠赤い手すりの月見櫓を一緒に見て、戦いの時代と⁠平和な時代の違いを感じたい。中では、鉄砲の小窓や⁠石落、太い柱、急な階段を上りながら、戦うための建物だったことを確かめられる。

訪ねる前に

天守は靴を脱いで入り、エレベーターはない。連休や⁠お盆は入場制限で長く待つことがあるので、公式サイトの待ち時間表示や⁠混雑予想カレンダー⁠を見ておくと⁠安心。2026年10月末までは外壁の一部が工事用テントで覆われている。

楽しみかた

内堀の南側から、水面に映る天守と⁠背後の山々を一緒に眺めるのが定番。夜は毎日ライトアップされるので、昼と⁠夜で2回見るのもおすすめ。明治に天守を守った市川量造や⁠小林有也の話を知ってから訪れると、町の人の城だったことが分かる。

訪問者レビュー

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異説・未確認の⁠点

出典

  1. 1
    観覧案内国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  2. 2
    天守と⁠その構造国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  3. 3
    松本城の歴史国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  4. 4
    黒門・太鼓門国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  5. 5
    国宝指定と⁠修理のあゆみ国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  6. 6
    天守築造年代国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  7. 7
    住民が守った松本城国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  8. 8
    アクセス国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  9. 9
    よくあるご質問国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  10. 10
    日本100名城一覧公益財団法⁠人日本城郭協会jokaku確認日:
  11. 11
    Matsumoto Castle (English)National Treasure Matsumoto Castleofficial確認日:
  12. 12
    【8/24〜10/31】松本城天守⁠の漆・外壁等定期メンテナンス⁠について国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  13. 13
    【10月18日】国宝松本城古式砲術演武⁠について国宝松本城(松本城管理課)official確認日:
  14. 14
    国宝旧開智学校松本市立博物館municipal確認日:
  15. 15
    日本100名城・続日本100名城一覧公益財団法⁠人日本城郭協会jokaku確認日:
  16. 16
    Wikipedia「松本城」Wikipedia日本語版wikipedia確認日:
  17. 17
    Wikidata Q739612Wikidatawikidata確認日:
  18. 18
    OpenStreetMap way/300077872© OpenStreetMap contributors (ODbL)osm確認日:

掲載の状況

  1. 候補を発見確認済み
  2. 城郭・城跡と⁠して確認確認済み
  3. 基本情報を掲載確認済み
  4. 詳細記事を掲載確認済み
  5. 写真の利用条件を確認確認済み
  6. 訪問情報を確認確認済み

近くの⁠城

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