国民保養温泉地の第一号
日光湯元温泉は奥日光、湯ノ湖の北岸、金精峠のふもとにある。788年、日光山を開いた勝道上人が発見したと伝わり、以来、湯治場として長く親しまれてきた。江戸時代の『日光山志』は中禅寺温泉八湯の名で9軒の湯屋を記し、冬の寒さが厳しいため昭和初期まで主に夏だけの湯治場だった。1878年にはイギリス人旅行家イザベラ・バードが滞在し、湯治客でにぎわう様子を手紙に書いている。1954年、酸ヶ湯・四万とともに国民保養温泉地の第一号に指定された。いまは約23軒の宿が湖畔に並び、鬼怒川のような歓楽色はない。[2][5]
透明な湯が白くなる
湯元の湯は硫化水素型の単純硫黄泉で、泉温49.3〜78.9℃。源泉では無色透明だが、地上で空気に触れると乳白色に、ときにエメラルドグリーンに変わる。源泉は19本、湧出量は毎分1,788.5リットル。源泉地は温泉街のはずれの湯ノ平湿原で、湯の湧く場所ごとに屋根付きの小屋が建ち、ここから各宿へ、さらに光徳温泉や中禅寺温泉まで配湯されている。湿原の木道を歩けば、浴槽の中でしか会わない『源泉』を湧いている姿のまま見られる。[1][5]
湯に入れる寺
源泉地の隣に日光山輪王寺の別院、温泉寺がある。もとは薬師堂と呼ばれ別の場所にあったが、1966年の台風で直径5mの大岩が落ちて堂が潰れ、如来像だけが岩の上に無傷で残ったという。1973年、源泉の近くの現在地に再建された。境内の『薬師湯』は含硫黄‐カルシウム・ナトリウム‐硫酸塩・炭酸水素塩泉、71.4℃の湯を加温なし・加水ありのかけ流しで使う。熱いので水で加減して入る。志納金は大人500円・小人300円、受付8〜16時、開湯は4月中旬ごろから11月下旬まで。宿泊は当面受け付けていない。[3][4]
冬は入口が一つになる
湯元は標高約1,500m。金精道路(国道120号)は毎年12月下旬から4月下旬まで閉鎖され、群馬側へは抜けられず、冬の入口はいろは坂経由だけになる。中禅寺湖が太平洋側の気候なのに対し湯元は日本海側の影響が強く、湯元だけ雪ということも多い。厳冬期は零下10度を下回り、ディーゼル車は燃料凍結の対策が要る。バスは日光駅から約80〜90分、1,950円。無料駐車場は6か所。雪見の白濁湯とスキー・スノーシューが冬の楽しみだが、温泉寺は閉湯しているので注意したい。[4][6][1]