湯の湧く沢の村
越後湯沢温泉は新潟県南魚沼郡湯沢町、上越新幹線と上越線の越後湯沢駅のすぐ西にある。歴史は平安末期、高半旅館の祖とされる高橋半六が毎分約300リットルの自然湧出泉を見つけたことに始まるとされ、湯の湧く沢があったことから村の名も湯沢になった。狭い意味の湯沢温泉はこの発見地に近い湯元地区、いまの山の湯があるあたりを指す。1390年創建と伝わる薬師堂、1769年に村が湯小屋を建てて共同経営を始めた『明和の和談書』、1886年の『日本鉱泉誌』に湯戸3軒・浴客年1万人とある記録など、小さな湯治場としての歩みが文書に残る。[5]
『雪国』と鉄道
川端康成はこの温泉を舞台に『雪国』を書き、執筆した宿『高半』はいまも営業している。小説のヒロインの名は下湯沢の共同浴場『駒子の湯』に残り、町には『雪国文学散歩道』が整備されている。1931年に上越線の清水トンネルが開通して東京と直結し、1982年の上越新幹線開業で東京から最短66分になった。周辺にはスキー場が集まり、駅前にはリゾートマンションも建つ。源泉は集中管理され、共同浴場や宿だけでなく一般家庭やマンションにも配湯される。温泉が観光資源というより、町の水道のような存在になっているのが湯沢の特徴だ。[5][1]
駅の中の湯
越後湯沢駅の駅ビルCoCoLo湯沢には、新潟の食と酒を扱う『ぽんしゅ館』がある。『唎酒番所』では1,000円でおちょこと5枚のコインを受け取り、新潟県内全酒蔵の代表銘柄を並べた機械から好きな酒を選んで飲む。奥の『酒風呂湯の沢』は天然温泉に浴用専用の日本酒を加えた浴場で、酒に弱い人や子どもでも入れると案内する。大人950円(入湯税込)・小学生400円、7〜9月の営業時間は10:30〜18:30(最終受付18:00)、無休。貸しタオルセットは200円。改札を出て数十歩で温泉地に着く、という点で越後湯沢は日本でもっとも鉄道と温泉が近い場所だ。[3][4]
湯元の小さな湯船
町の湯を知るなら湯元地区の『山の湯』。湯沢町の案内では越後湯沢で一番歴史のある共同浴場で、湯船は5〜6人でいっぱいになる小ささだが情緒は満点、康成自身も利用したといわれる。大人850円(入湯税150円含)・こども350円・障害者250円、10:00〜21:00(最終受付20:30)、火曜休、駐車場10台。山の湯・駒子の湯・岩の湯・街道の湯・宿場の湯の旧町営5浴場には共通券『外湯めぐり券』がある。駅西口や温泉街には無料の足湯が点在し、新幹線ホームと在来線ホームには手湯もある。冬は雪で使えない足湯もあるが、その雪こそがこの町の湯の背景だ。[2][5]