朝もやのかかる川と、岸に並ぶ古い木造の家並み
LOCAL RECORD
川と暮らしの
記録
聞き書きと古写真でたどる流域のくらし
BOOK://

地域文化の記録集

川と暮らしの記録

聞き書きと古写真でたどる、川べりのくらしの記録集

川は、暮らしの真ん中にあった。
八人の語りと、九十枚の古写真で残す。

帯コピー
判型
B5判(182×257mm)
推定ページ数
約100ページ(うち写真ページ約30)
完成形式
印刷用PDF+PDF配布版
制作期間の目安
約6週間(聞き書きの期間を除く)

CONTENTS

この本の目次

八人の語り、九十枚の古写真、行事の記録。三つの材料を、川の一年に沿って編んだ構成です。

  1. はじめにこの記録集について2
  2. 第一章川とともにある一年行事暦5
  3. 第二章渡し舟があったころ聞き書き(一)15
  4. 第三章洗い場と井戸端聞き書き(二)25
  5. 第四章川漁の道具投網・梁・うなぎ筒35
  6. 第五章大水の記憶昭和の二度の水害45
  7. 第六章夏祭りと灯籠流し行事の記録55
  8. 第七章古写真帖橋・舟・川原の九十枚65
  9. 第八章いまの川と、これから89
  10. 附録聞き書きの方法・質問票・協力者一覧95

READING SAMPLE

本文サンプル

「はじめに」の全文と、第一章の冒頭を、実際の組版に近い形で載せています。

はじめに

この記録集について

これは、町の真ん中を流れる一本の川と、その川べりで暮らしてきた人たちの記録集です。

きっかけは、公民館の物置から出てきた一箱の古写真でした。日付も説明もない写真が二百四十枚。橋の上の人力車、川原いっぱいの洗濯物、浴衣姿で舟に乗る子どもたち。整理を手伝いながら、わたしたちは同じことを思いました。この写真に写っていることを説明できる人が、町にあと何人いるだろう。

畳の上に開かれた、古い写真帖。台紙の角に写真が留められている
借りてきた古い写真帖。ページの間に、川の記憶がある。

それで、聞き書きを始めました。語り手は八十代を中心に八人。録音は合わせて約十四時間になりました。渡し舟があったころの話。川で洗い物をしながら交わされた立ち話。投網の打ち方。二度の大水の夜のこと。話は何度も脱線しましたが、脱線の中にこそ、暮らしの手ざわりが残っていました。

この本は、三つの材料でできています。八人の語り(聞き書き)、古写真九十枚、そして行事の記録です。語りはできるだけ話し言葉のまま残し、意味が通りにくいところにだけ注を付けました。写真は、写っている方やご家族に確認できたものを選んでいます。

川は、上水道が来るまで、台所であり、風呂であり、洗濯場であり、子どもの遊び場であり、ときどき恐ろしい災いでした。つまり、暮らしの真ん中にありました。いまの静かな川面からは想像しにくいその日々を、語られた言葉のまま次の世代に手渡すこと。それがこの記録集の役目です。

手に取ってくださったあなたが、帰り道に橋の上で少し立ち止まって、川を見下ろしてくれたら。編んだ者として、それ以上の喜びはありません。

2
第一章

川とともにある一年

行事暦

川の一年は、水の音が変わるところから始まる。

三月、上流の山の雪がゆるむと、川は冬のあいだの澄んだ細い流れから、白く濁った太い流れに変わる。語り手のひとりは、これを「川がふくれる」と言った。子どものころは、朝起きるとまず川の音を聞いた。音で水かさが分かり、水かさで、その日の遊び場が決まったのだという。

朝もやの川岸につながれた小舟。竹竿と網が置かれている
川の朝仕事。水の音だけが響く時間。

四月、川開き。かつては神社の宮司が舟の上から御幣を流し、その年の水難のないことを祈った。この行事は昭和の中ごろに一度途絶え、いまは町内会の安全祈願として、形を変えて続いている。

五月から六月にかけては、川漁の季節が本格化する。アユの解禁日には、川原に朝から人が並んだ。「解禁日の川原は、盆と正月がいっぺんに来たようなもんだった」と語るのは、十代から投網を打ってきた語り手である。獲れたアユは家で食べるだけでなく、行商が町の外へ運んだ。川は台所であると同時に、現金収入の道でもあった。

七月、夏祭り。祭りの中心は川だった。神輿は必ず一度川に入り、担ぎ手は膝まで水に浸かって渡った。夜には灯籠流し。この記録集の第七章に収めた一枚の古写真には、橋の欄干から身を乗り出して灯籠を目で追う、大勢の子どもたちが写っている。

夕暮れの細い通りに張り渡された提灯の列。紙の内側に灯りがともっている
夏の祭り。提灯の紙に、今年も名前が書かれる。

八月の川は、遊び場として一年でいちばん賑わう。そして九月、台風の季節が来る。川べりの暮らしは、この季節だけ川に背を向けた。雨戸に板を打ち、畳を上げ、大水に備える。第五章で詳しく記録するが、昭和のある年の大水では、いまの中橋のあたりまで水が来たという。

十月の収穫が終わると、川は静かになる。十一月、川原の芒を刈って、屋根や縄の材料にした。十二月、正月飾りの若松を、対岸の山から舟で運んだ。やがて雪が来て、川はまた細く澄んだ、冬の流れに戻る。

本章の行事暦は、八人の語りと、公民館に残る年中行事の記録を突き合わせて作った。時代によって形を変えた行事も多い。「いつごろ、どう変わったか」も、できるかぎり注記した。

5

(第一章はここまでを抜粋。本編ではこのあと、月ごとの行事暦の一覧が続きます)

川岸につながれた小舟。古写真ふうに色を抑えた誌面例

渡し舟と船頭。昭和三十年代。

川岸の水辺を切り出した、古写真ふうの誌面例

川原の洗い場。年代不詳。

提灯の灯りが並ぶ夜の通り。古写真ふうに色を抑えた誌面例

灯籠流しの夜。橋の上から。

第七章「古写真帖」の見開き(レイアウト図)。写真の下に、語りから採ったひとことを添える組みです。

MATERIALS

どんな材料から作られたか

BOOK://の本づくりは、材料を持ち込むところから始まります。この一冊が何からできて、AIと人がそれぞれ何をしたかの記録です。

MATERIALS

持ち込んだ材料

  • 聞き書きの音声 約14時間(語り手8人)
  • 古写真 約240枚(公民館の保管分と各家庭の提供分)
  • 公民館の郷土資料・年中行事の記録
  • 行事当日の見学メモ

AI

AIがしたこと

  • 音声の文字起こしと、方言への注記案
  • 語りを読みやすい「聞き書き体」へ整える下書き
  • 写真の裏書きや写り込みから、年代を推定する手がかりの整理
  • 行事暦と章立ての構成案

HUMAN

人が決めたこと

  • 方言をどこまでそのまま残すか
  • 写真の掲載可否(写っている方・ご家族への確認)
  • 地名・人名の表記と、匿名にする範囲
  • 記録として残す範囲と、最終的な採否

OUTPUT

完成形式

印刷用PDF(B5判・並製)PDF配布版

この作例は、地域で配ることを前提に、印刷用PDF(B5判)で書き出した想定です。公民館や図書館に置く冊子として、印刷所やネット印刷にそのまま入稿できます。あわせて、遠方の出身者やご家族に送れるPDF配布版も用意しました。古写真を大きく見せるため、判型は大きめのB5を選んでいます。

語りと古い写真があれば、地域の記録は一冊になる。

書くことから始めなくていい。話す、集める、選ぶところから、本づくりは始められます。

このサンプルは制作例として作成した架空の内容です。実在の人物・店舗・団体とは関係ありません。登場する土地・行事・数字は、制作例のために一般化して書いています。

サンプルに使用している写真は、制作例として生成した画像です。

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