高い窓から見下ろした、青い時間帯の街。窓に灯りがともっている
TRAVEL
二十の都市を
歩く
Walking Twenty Cities
BOOK://

旅行記

二十の都市を歩く

世界二十都市の紀行文と写真 — Walking Twenty Cities

観光ではなく、散歩を。
歩いた分だけ、街は自分のものになる。

帯コピー
判型
A5判(148×210mm)
推定ページ数
約180ページ(うち写真ページ約60)
完成形式
印刷用PDF+Web閲覧用PDF
制作期間の目安
約4週間(写真の選定を含む)

CONTENTS

この本の目次

二十の都市を、訪れた順ではなく「歩いて出会った場面」で八つの章に並べ直した構成です。

  1. はじめに3
  2. 第一章港と市場の朝イスタンブール/ハノイ/メキシコシティ11
  3. 第二章坂と路面電車リスボン/ポルト/サンフランシスコ31
  4. 第三章川を渡るプラハ/ブダペスト/バンコク49
  5. 第四章砂と石の都マラケシュ/カイロ67
  6. 第五章雨の日は美術館へロンドン/アムステルダム/ウィーン83
  7. 第六章南半球の冬ブエノスアイレス/メルボルン101
  8. 第七章眠らない街の、静かな場所ニューヨーク/ソウル/台北117
  9. 第八章最北の光ヘルシンキ137
  10. おわりに — 二十一番目の都市149
  11. 附録歩いた記録 — 二十都市の地図と年表157

READING SAMPLE

本文サンプル

「はじめに」の全文と、第一章の冒頭を、実際の組版に近い形で載せています。

はじめに

この本は、二十の都市を「観光」ではなく「散歩」した記録です。

名所を巡る旅を否定するつもりはありません。ただ、わたしの旅の記憶に残っているのは、有名な建物や絶景ではなく、もっと小さな場面ばかりでした。イスタンブールの路地で、パンを山と積んだ台車に道を譲ったこと。リスボンの坂の途中で、洗濯物が旗のように鳴っていたこと。ハノイの朝、湯気の向こうで店主が黙って麺を茹でていたこと。

きっかけは、十五年ほど前の出張でした。会議が一日早く終わり、予定のない一日がまるごと手に入った。ガイドブックを宿に置き、地図も見ずに歩きはじめたら、三時間がひと息に過ぎていました。あの日から、旅のたびに「歩くだけの日」を一日つくるようになりました。

二十の都市は、選んだというより、たまったものです。出張の前後の一日、休暇の数日。十五年かけて、旅のノートは十四冊になっていました。読み返すと、ノートには店の名前より、すれ違った人の靴や、街の音の記録のほうが多く残っていました。書いた本人にも意外な偏りで、この偏りが、そのままこの本の性格になっています。

ホテルの机に広げた紙の地図と旅のノート。半券と小さな硬貨が置かれている
ホテルの机。地図とノートと、その日拾ったもの。

この本では、二十の都市を訪れた順ではなく、「歩いて出会った場面」で並べ直しています。市場の朝。坂と路面電車。川。雨の日の美術館。目次を眺めて、気になった章から読んでください。どこから読んでも通じるように作りました。

歩くことは、いちばん安い旅の道具です。切符も予約もいりません。この本を閉じたあと、あなたがいつもの駅のひとつ手前で降りてみたくなったら、それがこの本のいちばんの成功です。

3
走る列車の窓から見た夕暮れの風景。ガラスに車内がうっすら映っている
口絵列車の窓は、いちばん安い展望席だった。
第一章

港と市場の朝

イスタンブール・ハノイ・メキシコシティ

イスタンブールの朝は、音から始まった。

まだ空が暗いうちに、遠くで船の汽笛が鳴る。ボスポラス海峡を渡る朝いちばんのフェリーだ。次に、パンを焼く匂いが路地に流れてくる。ゴマをまぶした輪の形のパン、シミットを積んだ台車が石畳を鳴らして通り、それを合図にしたように、街のシャッターが順番に開いていく。

早朝の細い路地。石造りの壁が続き、店のシャッターがまだ半分下りている
朝の路地。店が開くより早く、街は動きはじめる。

わたしは六時前に宿を出た。目的地は決めない。ただ、海のほうへ下りていくことだけを決めていた。坂の街では、これがいちばん簡単な散歩の方法だ。上りは考えることが多いが、下りは足が勝手に道を選んでくれる。

港に近づくほど、人が増えた。釣り竿を担いだ老人たち、魚のケースを氷ごと運ぶ若者、湯気の立つチャイの盆を片手で高く掲げて人混みを抜けていく店員。橋の欄干には、もう釣り人がすき間なく並んでいた。聞けば、夜明け前から場所を取るのだという。

市場の入口で、わたしは立ち止まった。オリーブの樽が十種類以上並び、店主がひとつずつ味見をさせてくれる。言葉はほとんど通じない。それでも「しょっぱい」「これは好きだ」という顔をするだけで、会話は成立した。三つ目の樽のオリーブを指さすと、店主は笑って親指を立てた。わたしの舌は、どうやら正しい樽を選んだらしい。

紙袋のオリーブを持って、海沿いの石段に座った。フェリーが着くたびに、人の波が押し寄せては、街に吸い込まれていく。誰もが速足で、誰もがどこかへ向かっている。その真ん中で、どこへも向かわなくていいのは、たぶんわたしひとりだった。

隣に座っていた老人が、わたしの紙袋をのぞきこみ、何か言って笑った。意味は分からない。ただ、悪くない選択だ、と言われた気がした。オリーブをひとつ差し出すと、老人は当然のような顔で受け取り、海を指さして、また何か言った。旅の会話は、これで十分に成立する。

観光客の一日は、名所の開館時間から始まる。けれど街の一日は、それよりずっと早くから始まっている。その差の二、三時間こそ、歩く者だけに開かれた時間だ。この章では、市場の朝から一日を始めた三つの都市——イスタンブール、ハノイ、メキシコシティを歩く。

11

(第一章はここまでを抜粋。本編ではこのあと、ハノイ、メキシコシティへ続きます)

早朝の路地を縦位置に切り出した誌面例

リスボン、朝の坂道。

列車の窓越しの風景を小さく置いた誌面例

市電の車内で。

本編の基本の見開き(レイアウト図)。左ページに写真を大きく、右ページに紀行文と小さな写真を置いています。

MATERIALS

どんな材料から作られたか

BOOK://の本づくりは、材料を持ち込むところから始まります。この一冊が何からできて、AIと人がそれぞれ何をしたかの記録です。

MATERIALS

持ち込んだ材料

  • 旅のノート14冊(十五年分)
  • 写真 約2,400枚
  • 地図・半券・搭乗券をためた箱
  • 行程の記録(予約メールの控え)

AI

AIがしたこと

  • ノートの文字起こしと、都市別・日付別の整理
  • 「訪れた順」ではなくテーマ別に組み直す章立て案を三通り提示
  • 文体の揺れをそろえた下書きと、重複した記述の指摘
  • 写真2,400枚を章ごとの候補に絞り込む手伝い

HUMAN

人が決めたこと

  • どの章立て案を採用するか
  • 掲載写真160枚の最終選定と並び順
  • 記憶違いだった記述の削除・修正
  • 書名・帯の言葉・表紙の方向性

OUTPUT

完成形式

印刷用PDF(A5判・カバー付き)Web閲覧用PDF

この作例は、写真を大きく置く紙の本を前提に、印刷用PDF(A5判)で書き出した想定です。あわせて、遠方の友人に送るためのWeb閲覧用PDFも用意しました。文章と写真の位置関係を保つため、リフロー型のEPUBはこの本では採っていません。印刷用PDFは、お好みの印刷所やネット印刷にそのまま入稿できるデータです。

旅のノートと写真があれば、始められる。

書くことから始めなくていい。話す、集める、選ぶところから、本づくりは始められます。

このサンプルは制作例として作成した架空の内容です。実在の人物・店舗・団体とは関係ありません。登場する場面や数字は、制作例のために一般化して書いています。

サンプルに使用している写真は、制作例として生成した画像です。

著作権について

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