鹿が教えた湯
那須温泉郷は那須岳(茶臼岳)の南麓に点在する温泉の総称で、その元湯が那須湯本の鹿の湯である。伝説では7世紀前半、舒明天皇の時代に狩野三郎行広が山で射た鹿を追い、傷を湯で癒している鹿を見つけたのが始まりで、名もそこから来た。738年(天平10年)の正倉院文書には那須温泉の記録が残り、『平家物語』では那須与一が扇の的を射る前に「那須の温泉大明神」に祈る。江戸時代には大名が湯治に訪れ、1645年に盛岡藩主が将軍家に湯治を願い出た記録がある。[3][6]
6つの温度
鹿の湯の浴舎は1941年(昭和16年)に改築され、そのままの姿で使われている。中には41・42・43・44・46・48℃の6つの浴槽が並び(女湯は48℃がない)、自分の体に合う温度を選ぶ。湯は単純酸性硫黄温泉で pH は3未満、白く濁る。石けん・シャンプーは泡立たず床が滑るため使用禁止。料金は大人500円、8時から18時まで。[3][4][2]
かぶり湯200回
鹿の湯の入り方は公式サイトに数字で書かれている。まずひしゃくで頭に湯をかける「かぶり湯」を大人約200回、子どもは約100回。それから腰まで1分、胸まで1分、首まで1分の「短熱浴」を繰り返し、1回の入浴は15分ほど。熱い湯に体を慣らし、頭に血が上るのを防ぐための昔からの手順で、館内には砂時計が置かれている。[3][2]
殺生石まで歩く
鹿の湯から湯川沿いに数分上ると那須温泉神社、その奥に賽の河原と殺生石がある。火山ガスが噴き出して鳥獣が死ぬことから「殺生」の名がつき、九尾の狐が石に化したという伝説を持つ。1689年に松尾芭蕉が訪れ、句碑が立つ。2014年に国の名勝に指定され、2022年3月に石が真っ二つに割れた。黒磯駅からバス約35分、那須塩原駅へは東京から新幹線約75分。[5][3][7]