加水: 熱すぎる、または量が足りない
源泉が高温のとき、真水を混ぜて入れる温度にするのが加水です。湯村温泉(兵庫)の荒湯は98℃、小浜温泉は105℃。そのままでは入れません。もう一つの理由は湯量不足で、浴槽を満たすために水を足す場合があります。
加水すると成分は薄まります。pH1台の酸性泉が、加水で少し穏やかになることもあります。掲示には「加水あり(温度調整のため)」のように理由が書かれていることが多い。
Asturio Cantabrio · CC BY-SA 4.0
Yumura Onsen
兵庫県 · 日本を知る100温泉 No.64
塩化物硫酸塩炭酸水素塩
98℃の湯が毎分470リットル、川べりの岩の間から噴き出す。人はそこで卵を茹で、冷めた湯に足を浸ける。
Aspere · CC0
Kusatsu Onsen
群馬県 · 日本を知る100温泉 No.25
酸性硫黄硫酸塩塩化物
毎分3万2千リットル、pH2.1の酸の湯が町の真ん中から湧き出し、木の樋を流れて冷めていく。
加温: ぬるい源泉を温める
源泉が25〜38℃くらいだと、そのままでは冬に入れないので温めます。これが加温。ボイラーや熱交換器で温めるので成分は変わりませんが、炭酸泉のように熱で成分(ガス)が逃げる湯もあります。
ぬる湯の温泉地では、源泉そのままの「ぬる湯」と加温した「あつ湯」を並べ、交互に入る文化があります(栃尾又温泉、下部温泉、増富温泉)。
浅野ます道 · CC BY 3.0
Shimobe Spa
山梨県 · 日本を知る100温泉 No.45
単純硫黄
足元の岩から30℃の湯が湧く「信玄の隠し湯」。ぬる湯に一時間、高温の新源泉で温め直す、二本立ての湯治場。
増富温泉
写真未掲載
Masutomi Onsen
山梨県 · 日本を知る100温泉 No.44
放射能(ラドン)
30℃前後のぬるい湯に黙って30分。日本で最も濃いラドン泉のひとつを、温めずそのまま浴びる湯治場。
循環ろ過: 湯を使い回す技術
浴槽の湯を吸い込み、ろ過器で髪や皮脂を取り、温め直して戻します。限られた湯で大浴場を維持する方法で、都市のホテルや大型施設で一般的です。1990年代以降、循環式の浴槽でレジオネラ菌による事故が起きたことから、消毒の基準が定められました。
「循環なし」=かけ流し、「循環あり」=使い回し。中間の「一部循環」もあります。浴槽ごとに違うので、露天と内湯を別に見ましょう。
消毒: 塩素とその匂い
循環する浴槽では、次亜塩素酸などによる消毒が条例で求められます。かけ流しでも、自治体の方針で消毒する場合があります。塩素は硫黄泉の硫化水素と反応して白濁を消し、匂いが変わります。酸性泉では塩素が効きにくいため、別の方法をとる所もあります。
消毒は衛生のためで、否定するものではありません。ただ「お湯の個性」を楽しみたい人は、「消毒なし」や「かけ流し」の浴槽を選ぶと違いが分かります。
掲示の読み方と、このアトラスの記録
温泉法に基づく掲示には、泉質・温度・加水・加温・循環ろ過・入浴剤・消毒と、その理由が書かれています。多くの施設は公式サイトにも同じ内容を載せています。
このアトラスは浴槽ごとに「かけ流し/加水/加温/循環/消毒」を「あり/なし/未確認」で記録し、検索の「加水なし」「加温なし」「循環なし」は、確認済みの「なし」だけを拾います。未確認は含めず、その件数を結果の上に表示します。
用語
- レジオネラ属菌
- ぬるい水で増え、吸い込むと肺炎を起こすことがある細菌。循環浴槽の消毒はこれを防ぐため。
- ぬる湯
- 35〜38℃ほどの湯。長時間入る湯治向き。
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浅野ます道 · CC BY 3.0
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単純硫黄
足元の岩から30℃の湯が湧く「信玄の隠し湯」。ぬる湯に一時間、高温の新源泉で温め直す、二本立ての湯治場。
Purplepumpkins · CC BY-SA 3.0
Takayu Onsen
福島県 · 日本を知る100温泉 No.22
硫黄
9本の源泉、毎分2,589リットル。加水も加温もせず、山の高低差だけで湯を冷まして届ける白い湯。