白濁: 硫黄だけではない
いちばん多い白濁の原因は、硫化水素が空気に触れて細かな硫黄の粒になることです。だから硫黄泉は源泉では透明でも、浴槽で白くなることが多い(鳴子、蔵王、万座)。粒が光を散らすので、浅い所は青白く、深い所は乳白色に見えます。
もう一つの白濁は、炭酸カルシウムの粒。白骨温泉の「白骨」はこれで、硫黄の匂いはあるものの、白さの主役は炭酸カルシウムです。メタケイ酸が原因の白濁もあります。
白濁は日によって変わります。気温・湯の温度・換気で濃さが違い、同じ浴槽でも朝と夕方で色が違う。「今日は白くない」は珍しくありません。
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Shirahone Onsen
長野県 · 日本を知る100温泉 No.50
硫黄炭酸水素塩
湧いたときは透明。空気に触れて白くなる。白骨の白濁は硫黄だけでなく、炭酸カルシウムが固まって「噴湯丘」まで作る湯の性質から来ている。
SpringField1967 · CC BY-SA 3.0
Manza Onsen
群馬県 · 日本を知る100温泉 No.29
硫黄酸性
標高1,800m、日量540万リットルの硫黄泉。空気の薄い山の上で、雪の中の白い湯に入る。
Zhaitengli · CC BY 4.0
Naruko Onsen
宮城県 · 日本を知る100温泉 No.18
硫黄硫酸塩炭酸水素塩塩化物単純含鉄酸性
療養泉10種のうち7種がひとつの温泉郷に。駅前の共同浴場「滝の湯」は300円、下駄を鳴らして湯めぐりへ。
青: 粒子が青い光を散らす
別府・明礬の青白い湯、北海道・丸駒の青、ニセコや箱根の「青い露天」。青は湯の成分の色ではなく、ごく細かい粒子(硫黄やシリカ)が空の青と同じ原理で短い波長の光を散らすために見えます。粒が大きくなると白に、もっと増えると乳白色に近づきます。
「コバルトブルー」「エメラルド」と宣伝される湯は、光の条件で見え方が変わることを知っておくと、期待と実際のずれが小さくなります。
Belle Equipe · CC BY-SA 3.0
Myōban Onsen
大分県 · 日本を知る100温泉 No.87
硫黄酸性
藁葺き小屋の床で、地中の噴気と青粘土から結晶が1日1ミリ育つ。1725年から続く『湯の花』づくりの現場。
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Marukoma Onsen
北海道 · 日本を知る100温泉 No.4
塩化物炭酸水素塩硫酸塩
湯船の深さは支笏湖の水位と同じ。湖とつながった露天がある。
緑: 硫黄とpHのバランス
月岡温泉(新潟)、国見温泉(岩手)の緑の湯は、硫黄の化合物の種類とpHの組み合わせで生まれます。黄緑から深い緑まで幅があり、やはり日によって変わる。鉄分を含む湯が黄緑を帯びることもあります。
663highland · CC BY 2.5
Tsukioka Onsen
新潟県 · 日本を知る100温泉 No.38
硫黄塩化物
入浴剤と間違われるほどのエメラルドグリーン。硫黄の多さが、そのまま色になって湯船に浮かぶ。
茶褐色・赤: 鉄がさびる
含鉄泉は、湧き出すときは透明。空気に触れて鉄がさびる(酸化する)と茶色〜赤褐色に濁ります。有馬の金泉、伊香保の黄金の湯、不老ふ死温泉がその代表で、鉄を含む湯はすべてこの変化を起こします。浴槽や床が赤く染まるのもこのため。タオルは色移りします。
663highland · CC BY-SA 4.0
Arima Onsen
兵庫県 · 日本を知る100温泉 No.62
含鉄塩化物二酸化炭素放射能(ラドン)
海水より濃い塩と鉄の『金泉』と、炭酸とラドンの『銀泉』。まったく違う2つの湯が、徒歩5分の距離で湧く。
ShuichiNakayama · CC BY 4.0
Ikaho Onsen
群馬県 · 日本を知る100温泉 No.28
硫酸塩炭酸水素塩塩化物
365段の石段の下を源泉が流れ、段ごとに宿へ分けられる。鉄で茶色に色づく「黄金の湯」の町。
おにく · CC0
Furofushi Onsen
青森県 · 日本を知る100温泉 No.12
塩化物含鉄
日本海の波打ち際、岩場に掘った茶褐色の湯船。遮るものなく夕日が海に沈む。
黒: 太古の植物
東京の黒湯、北海道の十勝川、新潟のいくつかの温泉は、紅茶〜コーラのような黒褐色です。火山ではなく、地下の泥炭や亜炭層を通った水が、植物由来の有機物(腐植質)を溶かし込んだもの。「モール泉」と呼ばれ、とろりとした肌触りが特徴です。十勝川温泉は世界でも珍しい植物性モール泉として知られます。
663highland · CC BY 2.5
Tokachigawa Onsen
北海道 · 日本を知る100温泉 No.6
塩化物炭酸水素塩
火山ではなく、太古の植物が温めた湯。茶色くとろりとしたモール泉の代表。
蒲田温泉
写真未掲載
Kamata Onsen
東京都 · 日本を知る100温泉 No.35
炭酸水素塩塩化物
手を入れると見えなくなるほど黒い湯が、東京の住宅街の銭湯に、600円で湧いている。
色が変わる温泉
湯の峰温泉の「つぼ湯」は日に7度色が変わるといわれ、透明・白・青が入れ替わります。酸ヶ湯や鳴子の一部の湯も、天候で白濁の濃さが変わります。理由は上に書いたとおり、粒子の量と光の条件。だからこのアトラスは、写真の色を強調しません。実際のお湯は、その日の色です。
Nekosuki · CC BY-SA 4.0
Yunomine Onsen
和歌山県 · 日本を知る100温泉 No.66
硫黄炭酸水素塩
世界遺産に登録された湯船に、30分だけ入れる。岩をくり抜いた『つぼ湯』は、熊野詣の人々が身を清めた湯だ。
ゆ^ω^び · CC BY-SA 2.1 jp
Sukayu Onsen
青森県 · 日本を知る100温泉 No.9
酸性硫黄
160畳、柱一本ない総ヒバ造りの千人風呂。日本一の雪の中で、酸の湯に男女が浸かる。
用語
- モール泉
- 植物由来の有機物を含む黒褐色の湯。ドイツ語の Moor(湿原・泥炭)から。
- 析出
- 溶けていた成分が固体になって出てくること。白濁や湯の花の原因。
関連する温泉
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Belle Equipe · CC BY-SA 3.0
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硫黄酸性
藁葺き小屋の床で、地中の噴気と青粘土から結晶が1日1ミリ育つ。1725年から続く『湯の花』づくりの現場。
663highland · CC BY 2.5
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入浴剤と間違われるほどのエメラルドグリーン。硫黄の多さが、そのまま色になって湯船に浮かぶ。
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硫黄炭酸水素塩
世界遺産に登録された湯船に、30分だけ入れる。岩をくり抜いた『つぼ湯』は、熊野詣の人々が身を清めた湯だ。