ラドンは岩から出る気体

ラドンは、花崗岩などに含まれるウランや⁠ラジウムが壊れていくときに生まれる、無色無臭の気体です。地下水がこうした岩を通ると、ラドンが溶け込みます。だから放射能泉は火山地帯より、花崗岩の多い地域(鳥取の三朝、山梨の増富、新潟の村杉、兵庫の有馬)⁠に多いのです。

「ラジウム温泉」という看板も多いですが、湯に入っているのは主にラドンで、ラジウムそのものはごくわずかです。昔の呼び名が残ったものと⁠考えてください。

どれくらい入っていれば放射能泉か

療養泉の基準は、湯1kgあたりラドン30×10⁻¹⁰キュリー以上。古い単位では「8.25マッヘ」、いまの単位では約111ベクレル(Bq)/kgです。温泉分析書にはこの3つの単位のどれかで書いてあります。

  • 1マッヘ ≒ 13.5 Bq/kg
  • 8.25マッヘ ≒ 111 Bq/kg(放射能泉の基準)

基準をわずかに超える湯から、三朝の一部の源泉のように基準の数十倍の湯まで、濃度の差はとても大きい。「ラドンを含む」と⁠いうだけでは⁠同じではないので、このアトラスでは分かる限り値と⁠単位、分析日を載せています。

ラドンは気体なので湯から空気へ逃げます。源泉から浴槽までの距離、湯の温度、浴室の換気で、入るときの濃度は分析書の値より下がります。

入⁠り方: 湯船より「空気」

体に入るラドンの多くは、皮膚からではなく、浴室の空気を吸うことで入ります。だから放射能泉の湯治では、湯船に浸かる時間より浴室にいる時間、そして「ぬるめの湯に長く」が基本です。

三朝温泉には、源泉の蒸気を満たした部屋で座って呼吸する「熱気浴(ラドン熱気浴)⁠」や、飲泉場があります。増富温泉の源泉は30℃前後で、ぬる湯にじっと⁠入るのが昔からの作法です。有馬の銀泉(炭酸・ラドン)⁠は飲泉もできます。

体内のラドンは呼気から数時間で出ていきます。

川沿いの露天風呂と脱衣所 三塚 · CC BY-SA 4.0

三朝温泉

Misasa Onsen

鳥取県 · 日本⁠を知る100温泉 No.74

放射能(ラドン)塩化物単純

浸かって、飲んで、吸う。ラドンを三つの入口から体に入れる湯治場は、川原の露天も飲泉場も無料で町に開いている。

増富温泉

Masutomi Onsen

山梨県 · 日本⁠を知る100温泉 No.44

放射能(ラドン)

30℃前後のぬるい湯に黙って30分。日本で最も濃いラドン泉のひとつを、温めずそのまま浴びる湯治場。

茶色く濁った露天風呂 663highland · CC BY-SA 4.0

有馬温泉

Arima Onsen

兵庫県 · 日本⁠を知る100温泉 No.62

含鉄塩化物二酸化炭素放射能(ラドン)

海水より濃い塩と⁠鉄の『金泉』と、炭酸と⁠ラドンの『銀泉』。まったく違う2つの湯が、徒歩5分の距離で湧く。

体への影響は⁠: 分かっていること・分かっていないこと

ごく少量の放射線が体の働きを刺激すると⁠いう考え(ホルミシス)⁠があり、三朝温泉では岡山大学の施設が100年近く研究を続けています。一方で、低い線量の影響を確かめるのは難しく、国際的にはっきり決着した⁠話ではありません。

確かなのは次のことです。放射能泉の入浴で受ける放射線の量は、医療機関の検査などと⁠比べてとても小さいこと。長く湯治をしている人の集まる場所であること。そして、どんな温泉でも「治る」と⁠断定はできないこと。

このアトラスは、医療効果を自分の言葉で断定しません。分析書に掲示された適応症を引用し、研究があることは研究があると⁠書き、体験者の感想は感想と⁠して分けて示します。

ラドン泉を探す

正式な泉質名に「放射能」「含ラドン」と⁠ある温泉地は、検索で「ラドンを含む温泉」を選ぶと⁠出てきます。資料の本文に「ラドン」と⁠あるだけで正式名で確認できていない温泉は「本文の記述から」と⁠注記しています。有馬のように、金泉(鉄・塩)⁠と⁠銀泉(炭酸・ラドン)⁠の2種類の源泉を持つ場所もあります。

代表的な放射能泉: 三朝(鳥取)⁠、増富(山梨)⁠、有馬(兵庫)⁠、村杉(新潟)⁠、関金(鳥取)⁠、鈍川(愛媛)⁠、湯の⁠花(京都)⁠、栃尾又(新潟)⁠、二股ラジウム温泉(北海道)⁠。

川沿いの露天風呂と脱衣所 三塚 · CC BY-SA 4.0

三朝温泉

Misasa Onsen

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浸かって、飲んで、吸う。ラドンを三つの入口から体に入れる湯治場は、川原の露天も飲泉場も無料で町に開いている。

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30℃前後のぬるい湯に黙って30分。日本で最も濃いラドン泉のひとつを、温めずそのまま浴びる湯治場。

茶色く濁った露天風呂 663highland · CC BY-SA 4.0

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含鉄塩化物二酸化炭素放射能(ラドン)

海水より濃い塩と⁠鉄の『金泉』と、炭酸と⁠ラドンの『銀泉』。まったく違う2つの湯が、徒歩5分の距離で湧く。

鈍川温泉の宿 As6022014 · CC BY-SA 3.0

鈍川温泉

Nibukawa Onsen

愛媛県 · 日本⁠を知る100温泉 No.85

単純

今治の山あい、花崗岩の渓谷から湧くラドンを含むアルカリの湯。道後・本谷と⁠並ぶ『伊予の三湯』の一つ。

山あいの谷に建つ旅館の建物 Mti · CC BY-SA 3.0

湯の花温泉

Yunohana Onsen

京都府 · 日本⁠を知る100温泉 No.70

放射能(ラドン)

京都駅から電車と⁠バスで1時間ほど。戦国武将が刀傷を癒したと⁠伝わる「京の奥座敷」の、ラドンを含む里山の湯。

用語

ベクレル(Bq)
1秒間に1回の原子核の壊変。湯のラドン量は Bq/kg や Bq/L で表す。
マッヘ
古いラドン濃度の単位。1マッヘ ≒ 13.5 Bq/kg。古い分析書に多い。
熱気浴
源泉の蒸気で満たした部屋に座り、ラドンを含む空気を吸う入り方。三朝温泉。

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30℃前後のぬるい湯に黙って30分。日本で最も濃いラドン泉のひとつを、温めずそのまま浴びる湯治場。

茶色く濁った露天風呂 663highland · CC BY-SA 4.0

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海水より濃い塩と⁠鉄の『金泉』と、炭酸と⁠ラドンの『銀泉』。まったく違う2つの湯が、徒歩5分の距離で湧く。

鈍川温泉の宿 As6022014 · CC BY-SA 3.0

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