湯の花は温泉の成分が固まったもの
温泉水が地上に出ると、温度が下がり、圧力が抜け、空気に触れます。溶けていた成分の一部はそのまま溶けていられず、固体になります。これが析出で、できたものが湯の花(湯の華)です。
成分によって姿が違います。硫黄泉では白〜黄色の細かな粒や糸状の塊。炭酸カルシウムの湯では石のような層(石灰華)。塩分の濃い湯では白い塩の結晶。鉄の湯では赤茶色の沈殿。浴槽に浮く湯の花は汚れではなく、温泉が濃い証拠です。
明礬温泉の湯の花小屋
別府・明礬温泉では、江戸時代から続く方法で湯の花を「育て」ます。藁葺きの小屋の床に青粘土を敷き、地下から上がる温泉の蒸気を通すと、粘土の表面に硫酸塩を主成分とする結晶が約2か月で育ちます。これを削り取ったものが入浴剤として売られます。
この製法は2006年に国の重要無形民俗文化財に指定されました。小屋の中を見学でき、湯の花がどうできるかを目で確かめられる場所です。
Belle Equipe · CC BY-SA 3.0
Myōban Onsen
大分県 · 日本を知る100温泉 No.87
硫黄酸性
藁葺き小屋の床で、地中の噴気と青粘土から結晶が1日1ミリ育つ。1725年から続く『湯の花』づくりの現場。
草津・玉川・温泉津
草津の湯畑では、木の樋の底に沈んだ硫黄分を集めた湯の花が名物です。玉川温泉の酸性の湯は、北投石という放射性の鉱物を長い年月で育てます(採取は禁止)。温泉津温泉の共同浴場「元湯」では、浴槽の縁や床に成分が何十年も積もって、石のように厚くなっています。
湯の花は温泉の個性そのもの。見つけたら、どんな成分の湯なのかを考えてみてください。
Aspere · CC0
Kusatsu Onsen
群馬県 · 日本を知る100温泉 No.25
酸性硫黄硫酸塩塩化物
毎分3万2千リットル、pH2.1の酸の湯が町の真ん中から湧き出し、木の樋を流れて冷めていく。
あおもりくま · CC BY-SA 3.0
Tamagawa Hot Spring
秋田県 · 日本を知る100温泉 No.13
酸性塩化物
pH1.2、1か所から毎分約9,000L。日本でいちばん酸の強い湯が、噴気の谷から流れ出す。
663highland · CC BY-SA 4.0
Yunotsu Onsen
島根県 · 日本を知る100温泉 No.77
塩化物
銀を積み出した港町の二つの共同浴場。湯は岩の間から自然に湧き、浴槽の縁には茶色の析出が何十年ぶんも積もっている。
用語
- 石灰華
- 炭酸カルシウムが積もってできた石のような層。
- 北投石
- 鉛とバリウムの硫酸塩にラジウムを含む鉱物。台湾の北投と秋田の玉川でだけ知られる。特別天然記念物。
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