因島・白滝山から見おろす瀬戸内の島々と畑

日本のレモン

島々に実る、国産レモン。

温暖で雨の少ない瀬戸内海を中心に、日本のレモンは育ってきました。

写真: Japanexperterna.se / CC BY-SA 3.0

収穫量

国産レモンの半分近くは、広島で⁠実る。

令和5年産(2023年産)⁠の全国の収穫量は9,668トン。広島県が4,659トンで48%を占め、愛媛県、和歌山県が続きます。数字が示すのは生産の規模で、味の優劣ではありません。

令和5年産(2023年産) · トン

広島県4,659 48%
愛媛県1,977 20%
和歌山県969 10%
宮崎県446 5%
熊本県338 3%
三重県305 3%
その⁠他974 10%

全国 9,668 トン

農林水産省「特産果樹生産動態等調査」(令和5年産)⁠。割合は収穫量から計算し、四捨五入しています。令和5年産が、公表されている最新の年です。627 出典 ↗

そのなかの、瀬戸田。

同じ令和5年産で、瀬戸田町の収穫量は1,864トン。全国の19%、広島県内の40%にあたります。県の数字と⁠町の数字は、調査主体が異なるため、別々に示しています。

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10年の⁠推移

収穫量は年ごとに大きく波を打ちます。全国、広島県、瀬戸田町の3本の線で見てみます。

全国広島県瀬戸田町
03,0006,0009,00012,0002015201620172018201920202021202220232024全国 2015 10,052 トン全国 2016 8,459 トン全国 2017 8,259 トン全国 2018 7,088 トン全国 2019 11,209 トン全国 2020 8,635 トン全国 2021 8,660 トン全国 2022 10,485 トン全国 2023 9,668 トン広島県 2015 5,618 トン広島県 2016 5,220 トン広島県 2017 4,790 トン広島県 2018 3,569 トン広島県 2019 6,284 トン広島県 2020 4,861 トン広島県 2021 4,401 トン広島県 2022 5,782 トン広島県 2023 4,659 トン広島県 2024 6,038 トン瀬戸田町 2015 2,420 トン瀬戸田町 2016 2,068 トン瀬戸田町 2017 1,842 トン瀬戸田町 2018 1,159 トン瀬戸田町 2019 2,878 トン瀬戸田町 2020 1,914 トン瀬戸田町 2021 1,662 トン瀬戸田町 2022 2,060 トン瀬戸田町 2023 1,864 トン瀬戸田町 2024 2,177 トン

資料では、平成27年・29年、令和2年・3年・4年に「寒波」の注記があります。

全国は農林水産省「特産果樹生産動態等調査」、広島県・瀬戸田町はJA広島果実連調べ(JAひろしま「令和8年せとだの柑橘」掲載)⁠。令和6年の全国値は資料に記載がありません。8

10年の⁠推移
トン2015201620172018201920202021202220232024
全国10,0528,4598,2597,08811,2098,6358,66010,4859,668—
広島県5,6185,2204,7903,5696,2844,8614,4015,7824,6596,038
瀬戸田町2,4202,0681,8421,1592,8781,9141,6622,0601,8642,177

日本のレモン栽培のはじまり

日本のレモン栽培がどこで始まったかには、いくつかの説があります。ここでは記録に残るできごとを、場所ごとに並べます。

  1. 1873明治6年

    日本(静岡)

    静岡で種をまいたのが、日本でのレモン栽培の始まりと言われています(広島県の資料の記述)⁠。熱海では、湯治に来た外国人が庭先に種をまいたのが始まりと⁠いう言い伝えがあり、観光の場で「国産レモン発祥の地」と紹介されています。

    諸説あり
  2. 1898明治3⁠1年

    広島県(大長)

    豊田郡大長村(いまの呉市豊町大長・大崎下島)⁠が和歌山県からネーブルの苗木を買ったところ、レモンの苗木3本が混じっており、試しに植えたのが広島県のレモン栽培の始まりといわれています。品種はリスボン系と推測されています。

  3. 明治時代

    瀬戸田

    瀬戸田でのレモン栽培は明治時代から行われているとの諸説があり、当時は自家栽培程度だったと推察されています。

    諸説あり
  4. 1914大正3年

    広島県

    大長地区を中心に広がり、広島県の栽培面積が11ヘクタールになりました。

  5. 1927昭和2年

    瀬戸田

    瀬戸田をレモンの産地にしようと、増殖が始まりました(年表では「レモンの商業栽培」)⁠。

  6. 1936昭和1⁠1年

    瀬戸田

    年表は「『レモン谷』として日本で始めての産地化」と記しています(垂水地区)⁠。

  7. 1953昭和2⁠8年

    広島県

    広島県の栽培面積が18ヘクタール(全国25ヘクタール)⁠となり、全国一のレモン生産県になりました。

  8. 1963昭和3⁠8年

    瀬戸田/広島県

    JAの資料では瀬戸田が約900トンの規模になり、日本一の産地だったとされます。広島県の資料では県の栽培面積70ヘクタール(全国144ヘクタール)⁠、生産量600トン超、全国の50%。

  9. 1964昭和3⁠9年

    日本

    5月にレモンの輸入が自由化され、国産レモンは大きな打撃を受けました。

  10. 1976昭和5⁠1年

    広島県

    昭和51年と56年の大寒波も、国産レモンに大きな被害を与えました。昭和52年には輸入レモンが10万トンを超えました。

  11. 昭和50年代

    瀬戸田

    国産レモンが見直され、農協が中心と⁠なって島を挙げたレモン増殖運動(1戸1アール増殖運動)⁠が始まりました。

    諸説あり
  12. 2000平成12年

    瀬戸田

    光⁠センサー選果機を導入しました。

  13. 2003平成15年

    瀬戸田

    第8回環境保全型農業推進コンクールで優秀賞を受けました。

  14. 2008平成20年

    瀬戸田

    広島県の特別栽培農産物の認証を取得し、せとだエコレモングループが結成されました。

  15. 2010平成22年

    瀬戸田

    光センサーを更新しました。

  16. 2021令和3年

    瀬戸田

    「ハートレモン」が商標登録されました。

  17. 2023令和5年(令和4年度)

    瀬戸田

    せとだエコレモングループが第52回日本農業賞集団組織の部の大賞を受けました(発表は2023年1月31日、表彰式は3月4日)⁠。

  18. 2023令和5年

    瀬戸田

    「スターレモン」「せとだエコレモン」が商標登録され、11月にはせとだエコレモングループが令和5年度(第62回)農林水産祭の園芸部門で天皇杯を受けました。

日本のレモン産地

瀬戸内の島々から、紀伊半島、九州、そして南の島まで。

3位

令和5年産

和歌山県

収穫量
968 トン · 10%
主な⁠産地
紀の川市、湯浅町、海南市(統計の主要産地)

収穫量は全国3位、全国のおよそ1割です。みかんで知られる果樹の県で、統計では紀の川市・湯浅町・海南市が主な産地に挙げられています。広島県の資料によれば、明治31年に大長村へ渡ったレモンの苗木は、和歌山県から買ったネーブルの苗木に混じっていたものでした。

4位

令和5年産

宮崎県

収穫量
446 トン · 4.6%
主な⁠産地
日南市、宮崎市、木城町(統計の主要産地)

収穫量は全国4位です。統計では日南市・宮崎市・木城町が主な産地に挙げられています。出荷量のうち加工向けが95.3トンあり、生の果実だけでなく加工にも使われていることが統計から分かります。

5位

令和5年産

熊本県

収穫量
338 トン · 3.5%
主な⁠産地
宇城市、芦北町、天草市(統計の主要産地)

原統計では収穫量338.3トンで全国5位です(JAの紙資料の円グラフでは5番目に三重県が載っていますが、収穫量では熊本県のほうが多い値です)⁠。主な産地は宇城市・芦北町・天草市です。

6位

令和5年産

三重県

収穫量
305 トン · 3.2%
主な⁠産地
御浜町(統計の主要産地)⁠。県の写真資料は紀宝町のマイヤーレモンを紹介

収穫量は305.1トンで全国6位、すべてが出荷に回っています。統計の主な産地は熊野灘に面した御浜町です。三重県の農林水産物フォトライブラリーはマイヤーレモンを載せ、収穫時期を10月から3月としています。

7位

令和5年産

佐賀県

収穫量
204 トン · 2.1%
主な⁠産地
鹿島市、太良町、唐津市(統計の主要産地)

収穫量203.8トン。統計の主な産地は鹿島市・太良町・唐津市です。

8位

令和5年産

香川県

収穫量
196 トン · 2%
主な⁠産地
三豊市、観音寺市、高松市(統計の主要産地)

収穫量196.4トン。統計の主な産地は三豊市・観音寺市・高松市です。

9位

令和5年産

高知県

収穫量
134 トン · 1.4%
主な⁠産地
黒潮町、香南市、四万十市(統計の主要産地)

収穫量133.5トン。統計の主な産地は黒潮町・香南市・四万十市です。

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令和5年産

静岡県

収穫量
80 トン · 0.8%
主な⁠産地
牧之原市、三島市、熱海市(統計の主要産地)

収穫量は80.1トンと多くはありませんが、歴史の話に欠かせない県です。広島県の資料は、日本での栽培は明治6年(1873年)⁠に静岡で種をまいたのが始まりと言われる、と記しています。熱海では、湯治に来た外国人がまいた種が始まりと⁠いう言い伝えが観光の場で語られています。

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令和5年産

千葉県

収穫量
56 トン · 0.6%
主な⁠産地
南房総市、鴨川市、館山市(統計の主要産地)

収穫量55.5トン。統計の主な産地は房総半島南部の南房総市・鴨川市・館山市です。

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令和5年産

東京都

収穫量
35 トン · 0.4%
主な⁠産地
小笠原村(父島ほか⁠)⁠、八丈町(八丈島)

量は35.4トンと小さいものの、島ならではのレモンがあります。品種は「菊池レモン」。昭和15年に菊池雄二氏がテニアンから八丈島へ苗を持ち込み、昭和48年に父島へ渡りました。小笠原では緑のうちに収穫して「島レモン」と呼び、八丈島では樹の上で熟させた「八丈フルーツレモン」として出荷しています。

日本で育つ品種

リスボン

広島県は、日本の代表品種を外国から入ったリスボンとビラフランカとしています。明治31年に大長へ入った苗もリスボン系と推測されています。

ビラフランカ

リスボンと並ぶ日本の代表品種です。

石田系リスボン

広島県の試験場が新品種と比べる相手にした、県内の系統です。試験の平均値は果実重129g、種子9.5個、クエン酸6.37%。

道谷系ビラフランカ

同じく県の試験で基準にされた系統で、「イエローベル」の種子親です。試験の平均値は果実重113g、種子18.1個、クエン酸6.54%。

イエローベル

広島県が育てた品種(平成24年3月23日品種登録、第21709号)⁠。種がきわめて少なく、皮が薄く、酸味がおだやかです。

璃の⁠香(りのか)

農研機構がレモンと日向夏を交配して育てた品種。かいよう病に強く、1個200グラムほどと大きく、酸味がまろやかです。統計ではレモンと⁠別の品目として数えられています。

マイヤーレモン

三重県が県の産物と⁠して紹介しています(収穫時期10月から3月)⁠。

菊池レモン(島レモン、八丈フルーツレモン)

小笠原と八丈島の品種。分類上はマイヤーレモンにもっとも近いと⁠され、果実は150〜200グラムと大きく、まろやかな味です。

アレンユーレカ

岩城島(愛媛県上島町)⁠の品種と⁠して紹介されています。

広島の、その先へ。

広島のレモンの4割が実る町があります。尾道市瀬戸田町。生口島と高根島へ渡りましょう。

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SETODA LEMON

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沼﨑 宏祥(ぬまざき・ひろよし)
J-Catalyst/東日本放送

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